コウモリ

コウモリの糞掃除が危険な理由|感染症リスクと安全な手順

コウモリの糞掃除が危険な理由|感染症リスクと安全な手順|屋根裏のコウモリと積もった糞から舞う粉じん、防護具を着けた作業員のイメージ

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ベランダや軒下、屋根裏に黒い粒が溜まっている。とりあえず箒で掃いてしまおう。そう考えたなら、いったん手を止めてください。

コウモリの糞掃除で本当に危険なのは、糞そのものより乾いた糞が崩れて舞い上がる粉じんです。これを吸い込むことが、健康被害につながる経路になります。

とはいえ、過度に怖がる必要はありません。正しい手順と道具さえそろえれば、少量なら自分で安全に片づけられます。

この記事では、粉じんが危険な理由、公的機関が示す感染症のリスク、糞の見分け方、そして安全な掃除の7ステップまでをまとめました。

駆除費用ナビ 編集部 環境省・厚生労働省・国民生活センターなど公的機関の一次情報をもとに、害獣駆除の費用と法制度を調査・執筆しています。

危険なのは糞そのものより「粉じん」

コウモリの糞は水分が少なく、乾燥すると触れただけでポロポロと崩れて細かい粉になります。この粉が空気中に舞い、呼吸とともに体内へ入ることが問題になります。

コウモリの糞掃除が危険な理由。糞が乾燥して崩れやすくなり、掃くと粉じんとなって空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで体内に入る。このため素手や掃除機、乾いたまま掃く方法は避け、湿らせてから回収する必要がある

乾くと崩れて空気中に舞う

ネズミやハクビシンの糞と違い、コウモリの糞は主に昆虫を消化したものです。そのため乾燥すると非常にもろく、指で押すだけで粉状になってしまいます。

屋根裏や軒下といった乾燥しやすい場所に溜まるため、掃除を始めた瞬間に大量の粉じんが舞い上がります。狭い屋根裏で作業すれば、その空間の空気を吸い続けることになるでしょう

吸い込むことが感染の経路になる

コウモリの糞に関連する感染症の主な経路は、口や傷口からではなく呼吸によるものです。だからこそ「触らない」だけでは不十分で、「吸い込まない」対策が欠かせません。

素手で触らないのは当然として、それ以上に重要なのがマスクの選択と、粉じんを立てない作業方法になります。

だから掃除機も箒もそのままでは使えない

手軽に思える掃除機は、最も避けたい方法のひとつです。吸い込んだ粉じんが排気口から出てくるため、部屋じゅうに拡散させる結果になります。

箒で掃く方法も、乾いたままでは同じです。この記事で紹介する手順が「まず湿らせる」から始まるのは、この理由によります。

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糞に関連する感染症のリスク

コウモリや鳥の糞に関連して知られているのがヒストプラスマ症です。公的機関が公開している情報をもとに整理します。

ヒストプラスマ症とは

ヒストプラスマ症は、Histoplasma属菌という真菌による感染症です。国立健康危機管理研究機構の情報提供サイトによると、この菌は土壌中に生息しており、コウモリや鳥の糞などに特に多いとされています

主な感染経路は経気道感染、つまり呼吸によって体内に入る経路です。汚染地域での土木建築工事や、コウモリが生息する洞窟の探検による集団発生が報告されています。

日本での報告数は多くない

同サイトによれば、この感染症は北米・中南米・東南アジアなど熱帯・亜熱帯地域を中心に発生しており、米国では最大の真菌性風土病と位置づけられました。

一方、日本国内の報告例は2018年末までに約100例程度と記載されています。国内で日常的に多発している病気ではありません。

ただし報告例が少ないことと、リスクがゼロであることは別です。とくに免疫が低下している状態では重い経過をたどりうるとされているため、防護なしで大量の粉じんを浴びる状況は避けるべきでしょう。

そのほかのリスクとダニ

動物の糞には人にうつる病原体が含まれている可能性があり、厚生労働省も動物由来感染症について注意を呼びかけました。コウモリの糞に限った話ではなく、野生動物の糞全般に共通する注意点です。

加えて、コウモリに寄生するダニが糞の周辺に残っている場合もあります。刺されると強いかゆみが出るため、肌の露出を避けることが大切になります。

怖がりすぎず、防護はきちんと

ここまで読んで不安になった方もいるかもしれません。ただ、少量の糞をベランダで片づける程度なら、防護具をそろえて手順を守れば過度に恐れる必要はないでしょう。

危険なのは、防護なしで屋根裏の堆積した糞を一気に掃くような状況です。量が多いほど、狭い場所ほどリスクは上がると考えてください。体調に不安があるときは、無理をせず業者に任せる判断も必要です。

コウモリの糞かどうかの見分け方

作業に入る前に、そもそもコウモリの糞なのかを確かめておきましょう。判断のポイントは崩れやすさと中身です。

コウモリの糞の積もり方から経過を読む方法。数粒だけなら立ち寄りの段階、少しずつ増えているならねぐらとして使われている段階、山になっているなら長期の住み着き。積もった量は日数の目安になる
積もった量は日数の目安になります

触ると崩れ、昆虫の羽が混じる

コウモリの糞は長さ1cm〜2cm程度で、黒っぽい色をしています。決定的な特徴が2つあり、ひとつは崩れやすさ、もうひとつは昆虫の羽やかけらが混じっている点です。

アブラコウモリは主に昆虫を食べるため、消化しきれない羽や外殻が糞に残ります。キラキラした細かいかけらが見えたら、コウモリの可能性が高くなります

ただし確認する際は必ず手袋を着け、崩さないよう注意してください。無理にほぐす必要はありません。

ネズミ・ゴキブリの糞との違い

紛らわしい糞との違いを表にまとめました。

生き物 大きさ 特徴
コウモリ 1cm〜2cm 触るとポロポロ崩れ、昆虫の羽が混じる
ネズミ 5mm〜1cm 硬く崩れにくい。通り道に散らばる
ゴキブリ 1mm〜3mm 黒い粒状で非常に小さい。台所や水回りに多い

ネズミの糞は硬く、押しても粉にはなりません。ゴキブリの糞はさらに小さく、大きさで区別がつきます。

落ちている場所も手がかりになる

コウモリはぶら下がったまま排泄するため、糞は真下にまとまって落ちます。壁沿いや軒下、ベランダの隅、シャッターの下などが典型的な場所です。

逆に、台所や食品棚の周辺ならネズミやゴキブリの可能性が高まります。糞の見た目と落ちている場所を組み合わせると、判断の精度が上がるでしょう。


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安全に掃除する7つの手順

ここからが実際の作業です。「換気 → 防護 → 湿らせる → 回収」の順番を守ることが安全確保の要になります

コウモリの糞を安全に掃除する7ステップ。換気する、防護具を着ける、霧吹きで糞を湿らせる、ほうきとちりとりで回収する、二重の袋に入れて口を縛る、消毒液で拭き上げる、道具と衣類を処分または洗浄し手洗いとうがいをする

防護具はマスク選びが要

そろえる道具のなかで、最も重要なのがマスクです。

コウモリの糞掃除で必要な防護具。防じんマスクは粉じんを吸い込まないために最も重要、ゴム手袋は素手での接触を避ける、保護メガネは目に粉じんが入るのを防ぐ、長袖長ズボンと帽子は肌の露出と髪への付着を防ぐ。作業後に洗える衣類を選ぶ

布マスクや不織布の簡易マスクでは、細かい粉じんを十分に防げません。防じん規格の製品を選んでください。ホームセンターで数百円から手に入ります。

あわせてゴム手袋、保護メガネ、長袖・長ズボン・帽子も用意します。見上げる姿勢での作業になるため、目に粉じんが入りやすい点にも注意が必要です。衣類は作業後に洗えるものを選びましょう。

7つのステップ

準備が整ったら、次の順に進めます。

  1. 窓や点検口を開けて換気する
  2. 防護具をすべて着ける
  3. 霧吹きで糞を湿らせる
  4. ほうきとちりとりで回収する
  5. ビニール袋を二重にして口を縛る
  6. 消毒液で拭き上げる
  7. 道具と衣類を処分または洗浄し、手洗いとうがいをする

3番目の「湿らせる」が最も重要な工程です。霧吹きで軽く水をかけるだけで、舞い上がりは大きく抑えられます。びしょ濡れにする必要はなく、表面がしっとりする程度で十分でしょう。

回収した糞は自治体のルールに従って処分してください。消毒には市販の消毒用アルコールか、薄めた次亜塩素酸ナトリウムを使ってください。

作業に向く時間帯と天候

屋根裏で作業するなら、気温の上がらない朝や夕方が向いています。夏場の日中は熱がこもり、熱中症のリスクも見過ごせません。

また、風の強い日の屋外作業は避けたほうが無難です。せっかく湿らせても、乾いた部分が風で飛ばされる可能性があります。

やってはいけない掃除方法

次の4つは、いずれも粉じんを広げてしまう行動です。

コウモリの糞掃除でやってはいけない方法4つ。掃除機で吸うと排気とともに粉じんが室内に広がる、乾いたまま掃くと粉じんが舞い上がる、いきなり高圧洗浄や送風機を使うと粉じんと汚水が飛散する、素手で触ると手に付着して口や目へ運んでしまう

掃除機と送風機は使わない

繰り返しになりますが、掃除機は排気で粉じんを拡散します。家庭用の掃除機のフィルターでは、細かい粒子を捕らえきれません。

ブロワー(送風機)で吹き飛ばす方法も同様です。手早く片づくように見えて、周囲一帯に粉じんをまき散らすことになります。

いきなり水で流さない

ベランダの糞をホースや高圧洗浄機で一気に流したくなるかもしれません。ただし、乾いた糞に勢いよく水を当てると、粉じんと汚水が飛び散ります。

順番としては、まず霧吹きで湿らせて回収し、そのあとで水洗いします。ひと手間ですが、飛散を防ぐには必要な段取りです。

素手で触らない

糞に触れた手で顔を触れば、口や目から体内に入る経路ができてしまいます。作業中に汗をぬぐう動作にも注意してください。

手袋は使い捨てタイプが便利です。作業後はそのまま処分し、手洗いを済ませましょう。

自分で掃除しないほうがいいケース

次に当てはまる場合は、無理をせず専門業者に任せてください。

  • 屋根裏に糞が広範囲に堆積している
  • 免疫が低下している方が家族にいる
  • ぜんそくやアレルギーの持病がある
  • 高所や狭所での作業になる
  • まだコウモリが住み着いている

量が多いほど粉じんの発生量も増え、リスクは上がります。屋根裏は狭くて暗く、天井板を踏み抜く危険もある場所です。

また、コウモリがまだいる状態で掃除しても、翌日には新しい糞が落ちます。追い出しと封鎖を先に済ませてから清掃するのが正しい順番です

掃除だけでは終わらない

糞の片づけは対症療法にすぎません。侵入口や休憩場所が残っている限り、また同じだけ溜まっていきます。

追い出しと封鎖まで進める

コウモリは鳥獣保護管理法で保護されており、捕獲や殺傷は違法です。一方で、追い出しと侵入口の封鎖に許可はいりません。

屋根裏なら1cmの隙間まで封鎖しましょう。軒下のように塞げない場所では、ネットや忌避剤で留まらせない対策に切り替える必要があります。

業者に頼んだ場合の費用

清掃と消毒だけを依頼した場合、範囲によって数万円程度が目安になります。追い出しや封鎖、高所作業まで含めると金額はさらに上がるでしょう。

現地調査と見積りを無料で行う業者なら、状況の確認と金額の提示まで0円で済みます。自分でやるか任せるかの判断材料として、まず調査だけ受けてみるのも一つの方法でしょう。

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コウモリの糞掃除に関するよくある質問

少し吸い込んでしまったかもしれません

まずは落ち着いて、うがいと手洗いをしてください。多くの場合は無症状で経過するとされていますが、その後に発熱や咳、息苦しさなどの体調変化があれば、医療機関で「コウモリの糞を掃除した」と伝えて相談しましょう。自己判断せず、専門家の診察を受けることが大切です。

マスクは市販の不織布マスクでもいいですか?

不十分です。細かい粉じんを防ぐには、防じん規格に対応した製品を選んでください。ホームセンターの作業用品コーナーで手に入ります。数百円の差で安全性が大きく変わる部分です。

掃除した後、消毒は必要ですか?

行っておくことをおすすめします。糞を取り除いても、目に見えない汚れが残っている可能性があります。消毒用アルコールか薄めた次亜塩素酸ナトリウムで拭き上げてください。

ペットや子どもへの影響はありますか?

作業中は近づけないようにしてください。粉じんが舞う環境に立ち入らせるのは避けるべきです。掃除が終わり、消毒と換気を済ませてから戻すようにしましょう。

糞を放置するとどうなりますか?

悪臭が発生し、カビやダニ、害虫の温床になります。天井裏に溜まればシミや腐食の原因にもなり、修繕費が膨らんでしまうでしょう。量が増えるほど掃除も大変になるため、早めの対応が結果的に楽になります。

まとめ:湿らせてから、防護具をそろえて

コウモリの糞掃除で危険なのは、乾いた糞が崩れて舞い上がる粉じんです。吸い込むことが感染の経路になるため、「触らない」だけでなく「吸い込まない」対策が欠かせません。

公的機関の情報によれば、コウモリや鳥の糞に関連するヒストプラスマ症は国内の報告例が多くないものの、免疫が低下している状態では注意が必要とされています。過度に恐れる必要はありませんが、防護具はきちんとそろえましょう。

作業は換気・防護・湿らせる・回収の順で進め、掃除機や送風機、いきなりの水洗いは避けてください。屋根裏に大量に堆積している場合や、まだコウモリが住み着いている場合は、追い出しと封鎖を含めて業者に相談するのが確実です。調査と見積りが無料の業者なら、状況の確認だけでも費用はかかりません。