ネズミ

ネズミが媒介する感染症|経路別のリスクと防ぎ方

ネズミが媒介する感染症|経路別のリスクと防ぎ方|大きなネズミと防護シールド、糞尿・咬傷・寄生虫・食品汚染という4つの感染経路のアイコン、住宅のイメージ

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天井裏で物音がする、台所に糞が落ちていた。そんなとき、多くの方が真っ先に気にするのは「この家で病気になったりしないだろうか」という点ではないでしょうか。小さなお子さんがいるご家庭なら、なおさら不安が大きいはずです。

結論から申し上げると、ネズミが関わる感染症は確かに存在します。ただし、やみくもに怖がる必要はありません。人に伝わる道筋は大きく4つに整理でき、その道筋さえ塞げば、日常生活のなかで防ぐことは十分に可能です

この記事では、厚生労働省や国立健康危機管理研究機構が公開している情報をもとに、感染がどう起こるのか、どんな感染症が知られているのか、家庭で何をすればよいのかを順に整理しました。あわせて、体調に変化があったときにどこへ相談すればよいかもまとめています。

なお、病気の診断や治療の判断は医師の領域です。この記事は「家庭で何を防げるか」に絞ってお伝えします。気になる症状があるときは、読み進めるより先に医療機関へご相談ください。

駆除費用ナビ 編集部 環境省・厚生労働省・国民生活センターなど公的機関の一次情報をもとに、害獣駆除の費用と法制度を調査・執筆しています。

感染は4つの経路で起こる

ネズミから人へ病原体が伝わる道筋は、糞尿、咬傷、寄生虫、食品汚染の4つに分けられます。逆にいえば、この4つを塞げば感染のリスクは大きく下がります。まずは全体像をつかんでください。

ネズミが関わる感染の4つの経路。糞尿に触れることと粉じんを吸うこと、咬まれることと引っかかれること、イエダニなど寄生虫を介すること、食品や調理器具の汚染。経路が分かれば対策も決まる

①糞尿に触れる・粉じんを吸う

もっとも身近なのがこの経路です。ネズミの糞は時間が経つと乾いて崩れやすくなり、掃除の動作で細かい粒子となって舞い上がります。それを吸い込んだり、手に付いたまま食事をしたりすることで体内に入ります。

掃除機で吸う、乾いたまま箒で掃くという方法は、粉じんを室内に広げてしまうため避けてください。後ほど詳しく触れますが、消毒液で湿らせてから拭き取るのが基本です。

②咬まれる・引っかかれる

追い払おうとして素手を出したときや、粘着シートにかかった個体を外そうとしたときに起こります。死んでいるように見えても動くことがあり、思わぬタイミングで咬まれる事例があります。

傷が小さく見えても、皮膚のバリアが破れている点は変わりません。見た目の傷の大きさと、対処の必要性は比例しません

③ダニ・ノミなど寄生虫を介して

ネズミには「イエダニ」と呼ばれるダニが寄生していることがあります。中野区は、イエダニについて、気温が上がる初夏から初秋にかけてネズミの巣内で大量に発生したり、ネズミが死んだときに巣から離れて人を刺したりすることがあると案内しています。

体の柔らかい部分を刺され、強いかゆみが出るのが特徴です。刺され跡だけを市販薬で対処しても、原因のネズミが残っている限り繰り返してしまいます

④食品や調理器具の汚染

ネズミは食べ物を求めて台所や食品庫を歩き回る生き物です。その足で調理台やまな板の上を通れば、そこから口に入る道ができてしまいます。袋をかじられた食品も同様です。

かじられた部分だけを切り落として食べる方がいますが、目に見える範囲だけを取り除いても安全とはいえません。もったいなく感じても処分してください。

経路が分かれば対策も決まる

4つの経路を並べると、共通点が見えてきます。いずれも「ネズミが家の中にいること」が出発点になっているという点です。

つまり、清掃や消毒はその場の対処であって、根本の解決ではありません。侵入を止めない限り、糞も、咬まれる機会も、ダニも、食品の汚染も繰り返し発生します。そこまでの進め方は、この記事の後半でご説明しましょう。

ネズミが媒介する感染症|経路別のリスクと防ぎ方

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知っておきたい主な感染症

ここでは、公的機関が情報を公開しているものに絞って紹介します。いずれも「必ずかかる」というものではなく、経路を塞げば避けられるものです。症状の細部や治療については、医師の判断に委ねるべき領域なので触れません。

ネズミが関わる主な感染症と経路の対応。サルモネラ症は食品や調理器具の汚染、レプトスピラ症は尿に汚染された水や土との接触、鼠咬症は咬まれることや引っかかれること、イエダニによる被害は寄生虫を介したもの。出典は厚生労働省と国立健康危機管理研究機構

サルモネラ症

厚生労働省が情報を公開している細菌性の感染症で、汚染された食品などを介して口から入ることで起こります。ネズミに限らず、さまざまな動物が保菌している可能性があるとされています。

家庭で意識すべきは、食品と調理器具を汚染から守ることです。食品を密閉容器に移し、調理台を毎日拭き上げるだけでも、この経路はかなり細くできます

レプトスピラ症

国立健康危機管理研究機構によれば、病原性レプトスピラはドブネズミなどの保菌動物の腎臓に保菌され、尿中に排出されるとのことです。人へは、その尿で汚染された水や土壌から、皮膚や口を通じて感染するとされています。感染症法における位置づけは4類感染症です。

川遊びなどの水辺のレジャーで報告される例が知られていますが、家屋にいるネズミの尿が原因と考えられる報告もあります。傷がある手で、尿で湿った場所を素手で触るのは避けてください

鼠咬症(そこうしょう)

名前のとおり、咬まれたり引っかかれたりすることで起こる感染症です。厚生労働省は動物由来感染症のひとつとして情報をまとめています。

咬まれた記憶があり、あとから発熱などの体調変化が出た場合は、その事実を医師に伝えることが診療の助けになります。忘れないうちにメモを残しておくとよいでしょう。

症状の自己判断は避ける

ここまで名前を挙げてきましたが、症状だけを見て「これはあの病気だ」と自分で判断するのは危険です。よく似た症状を示す病気は数多くあり、素人が切り分けられるものではありません。

この記事で覚えていただきたいのは、病名ではなく「ネズミがいる環境で体調をくずしたら、その事実を医師に伝える」という一点です。判断はプロに任せてください。

とくに注意が必要な家庭

同じ環境でも、家族構成によって気をつける度合いは変わります。次のいずれかにあてはまるご家庭では、清掃で様子を見るより、早めに侵入を止める方向へ進んだほうが安心です。

とくに注意したい家庭。小さな子どもがいる家庭は床に近い場所で過ごす時間が長い、高齢の家族がいる家庭、免疫が落ちている人がいる家庭、犬や猫などのペットがいる家庭はネズミを咥えることがある。いずれも早めに環境を整えることが大切になる

小さな子ども・高齢の家族

小さなお子さんは床に近い高さで過ごす時間が長く、手を口へ運ぶ機会も多いため、汚れに触れる場面が増えます。おもちゃを床に置く、はいはいをするといった行動そのものがリスクにつながるためです。

高齢のご家族の場合、体調の変化に自分で気づきにくく、受診が遅れやすい傾向も見られました。周囲が「いつもと違う」と気づいて声をかけると、早い対応につなげられます

免疫が低下している方

治療中の方や持病をお持ちの方など、体調をくずしやすい状態にあるときは、影響が出やすくなると考えられています。ご家族にそうした方がいる場合、糞の清掃を本人に任せるのは避けてください。

作業は別の家族が担当するか、専門業者に依頼するほうが確実です。防護具をそろえて短時間で終わらせられるかどうかが判断の分かれ目になります。

ペットへの影響

犬や猫がネズミを捕らえて口にしたり、ダニをもらったりすることがあります。屋外に出る猫を飼っているご家庭では、意識しておいて損はありません。

食欲や元気がない状態が続くなど、いつもと違う様子が見られるときは動物病院へご相談ください。人の医療機関と同じく、家にネズミがいる状況を伝えると診察の参考になります。


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経路別の防ぎ方

ここからは実践編です。先ほどの4つの経路それぞれについて、やるべきこととやってはいけないことを対で押さえてください。難しい道具は必要ありません。

経路別の防ぎ方。糞尿と粉じんには湿らせてから回収し掃除機は使わない。咬傷には流水と石けんで洗い医療機関を受診する。イエダニには寝具を洗い、発生源であるネズミの巣を取り除く。食品汚染には密閉容器で保管し、汚れた調理器具は洗浄する

糞尿の清掃は湿らせてから

清掃前に窓を開けて換気し、使い捨てのマスクと手袋を着けます。次に、消毒用アルコールや薄めた塩素系漂白剤を糞に吹きかけ、乾いた粒子が舞わない状態にしてからペーパーで拭き取ります。

拭き取ったペーパーと手袋は袋に入れて口を縛り、そのまま捨ててください。作業後は石けんで手を洗い、着ていた衣類も洗濯すると安心です。塩素系漂白剤を使う際は、酸性の洗剤と混ざらないよう十分にご注意ください。

咬まれたら流水で洗い医療機関へ

咬まれたり引っかかれたりした場合は、まず流水で十分に洗い流します。傷が浅く見えても、その後の対応を自己判断で終わらせないでください。

傷の程度にかかわらず、医療機関を受診し「ネズミに咬まれた」と伝えることが大切です。市販薬を塗って様子を見るという判断は、この場面では選ばないほうがよいでしょう。

食品は密閉容器で保管する

袋のまま棚に置いている食品は、密閉できる容器に移し替えます。米、パン、乾物、ペットフードは特に狙われやすい品目です。生ごみも蓋のある容器に入れてください。

調理台とシンクは毎日拭き上げ、食器は洗ったまま出しっぱなしにせず収納します。餌がない環境をつくることは、感染対策であると同時に、ネズミを寄せつけない対策にもなります

ダニ・ノミへの対応

刺され跡が続く場合、まず疑うべきは巣や死骸が家のどこかに残っている可能性です。ネズミがいなくなった直後に刺され始めるという順序も、決してめずらしくありません。

殺虫剤で一時的に数を減らせても、供給源が残っていれば再び増えます。壁の中や天井裏など手の届かない場所に巣がある場合は、無理に探さず専門業者に調査を依頼するのが現実的です。

体調に変化があったら

予防をしていても、体調に変化が出ることはあります。そのときにどう動くかを、あらかじめ決めておくと迷いません。次の流れを頭に入れておいてください。

体調に変化があったときの流れ。まず流水で洗う、次に自己判断せず医療機関を受診する、受診のときに家にネズミがいることを必ず伝える、ペットに変化があれば動物病院へ相談する

自己判断せず医療機関へ

発熱や体のだるさなど、いつもと違う状態が続くときは、市販薬で様子を見るより受診を選んでください。結果として何でもなければ、それが一番よい結果です。

どの科にかかればよいか迷う場合は、まずかかりつけ医や近隣の内科に相談すれば、必要に応じて適切な医療機関を案内してもらえます。

「ネズミがいる環境」を必ず伝える

受診時にもっとも大切なのが、この一言です。「家にネズミが出ている」と伝えるかどうかで、医師が確認する範囲は変わります

あわせて、咬まれた日付、糞を清掃した日、症状が出始めた時期をメモしておくと診療がスムーズに進みます。スマートフォンのメモ機能で十分です。

ペットは動物病院へ

犬や猫の様子がおかしいときは動物病院に相談し、家にネズミが出ている状況を伝えてください。人と同じく、環境の情報が診察の手がかりになります。

屋外に出る猫の場合、家の中だけを整えても接触の機会は残ります。かかりつけの獣医師と相談しながら対応を決めるとよいでしょう。

根本対策は侵入を止めること

ここまで清掃や受診の話をしてきましたが、いずれも起きたことへの対処です。感染のリスクをゼロに近づける唯一の方法は、ネズミが家に入ってこない状態をつくることに尽きます

駆除だけで終わらせず封鎖まで進める

粘着シートや殺そ剤で一時的に数が減っても、入り口が開いたままなら新しい個体が入ってきます。ネズミは1cmから1.5cm程度のわずかな隙間を通り抜け、さらに歯でかじって広げる性質を持った生き物です。

そのため、駆除と封鎖はセットで考える必要があります。金網やパテなど、かじられにくい材料で隙間を塞ぐところまで進めて、はじめて対策が完了します。

業者に依頼する判断

天井裏や壁の中は、一般の方が安全に作業できる場所ではありません。無理な姿勢での高所作業に加え、粉じんを吸い込む危険もあります。

専門業者であれば、防護具をそろえたうえで巣の位置を特定し、清掃・消毒・封鎖まで一度に対応できます。現地調査と見積りを無料で行う業者を選べば、まず状況を把握するだけなら費用はかかりません。金額を見てから依頼するかどうかを判断できます

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よくある質問

ネズミの糞を素手で触ってしまいました。どうすればよいですか。

まず石けんと流水で丁寧に手を洗ってください。そのうえで、しばらくは体調の変化に気を配り、発熱などいつもと違う状態が出た場合は医療機関を受診し、ネズミの糞に触れた事実を伝えてください。手洗いを済ませたからといって、慌てて受診する必要はありません。

ネズミがいるだけで、必ず感染症になりますか。

そういうわけではありません。感染は特定の経路をたどって起こるため、糞尿・咬傷・寄生虫・食品汚染の4つを塞げばリスクは大きく下がります。過度に恐れず、できることから手をつけてください。

消毒だけしておけば大丈夫でしょうか。

消毒はその場の汚染を減らす作業であり、原因を取り除くものではありません。ネズミが出入りしている限り、糞も尿もまた増えます。消毒と並行して、侵入口を塞ぐところまで進めることをおすすめします。

ペットがネズミを咥えていました。動物病院に行くべきですか。

その時点で元気があっても、心配であれば早めにご相談ください。受診の要否や様子を見る期間の判断は獣医師の領域です。相談の際は、いつ・どこで・どのような状況だったかを伝えると診察の助けになるはずです。

まとめ

ネズミが関わる感染症は、糞尿と粉じん、咬まれること、イエダニなどの寄生虫、食品と調理器具の汚染という4つの経路で人に伝わります。厚生労働省や国立健康危機管理研究機構が情報を公開しているサルモネラ症やレプトスピラ症も、この経路の延長線上にあると考えてよいでしょう。

家庭でできることははっきりしています。糞は湿らせてから拭き取り、咬まれたら流水で洗って受診し、食品は密閉容器に移し、巣や死骸を残さない。そして体調に変化があれば、家にネズミがいる事実を必ず医師に伝えることです。

とはいえ、これらはすべて「ネズミがいる」という前提のうえでの対処にすぎません。小さなお子さんや高齢のご家族がいるご家庭では、清掃を繰り返すより、侵入そのものを止めるほうが結果的に負担も少なく済みます。

現地調査と見積りを無料で行う業者であれば、まず状況を確認するだけなら費用はかかりません。天井裏の様子が分からないまま不安を抱えているのであれば、一度プロの目で見てもらうところから始めてみてください。