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天井裏でカサカサと音がする。台所に小さな糞が落ちている。ネズミが入り込んでいるのは間違いないけれど、どこから来ているのか見当がつかない。そんな状況ではないでしょうか。
ネズミが通れる隙間は、想像よりずっと小さいものです。自治体の資料によれば、ハツカネズミなら1cm、子ネズミでも1.5cmあれば通り抜けられます。
そしてネズミには、他の害獣にはない厄介な習性があります。歯が伸び続けるため、常に何かをかじって研いでいるのです。今は通れない隙間でも、かじって広げて入口に変えてしまいます。
この記事では、種類別の侵入傾向、狙われやすい10カ所、ラットサインからの特定方法、そしてかじられない封鎖材料の選び方までをまとめました。
ネズミは1.5cmの隙間から入る
まず基準となる数値を押さえておきましょう。硬貨に置き換えて覚えると、点検の際に判断しやすくなります。
自治体が示している数値
大阪市の資料では、クマネズミは1.25cm、ハツカネズミは1cm(10円玉の半分の大きさ)の隙間があれば通ることができると記載されました。
目黒区の資料はさらに具体的で、子ネズミなら1.5cm(大人の指が第二関節まで差し入れられる広さ)、大人のネズミでも2.5cm(500円硬貨くらいの大きさ)あれば十分と説明されています。
点検する際は、指が入るかどうかを目安にしてみてください。第二関節まで入る隙間があれば、そこは封鎖の対象になります。
硬貨を持って回るのも実用的な方法です。10円玉や500円玉を隙間に当ててみて、通りそうなら記録しておきましょう。目分量より確実に判断できます。
かじって穴を広げるのがネズミ固有の問題
ここが他の害獣との決定的な違いです。ハクビシンやコウモリは既にある隙間を通るだけですが、ネズミは自分で入口をつくります。
前歯が生涯にわたって伸び続けるため、常に何かをかじって長さを調整する必要があるのです。この習性の結果として、木材や細い金網なら食い破って穴を空けてしまいます。
被害はそれだけにとどまりません。配線をかじられれば漏電やショートの原因になり、火災につながる恐れもあります。侵入を防ぐことは、建物の安全を守ることにも直結します。
つまり、「今は通れない小さな隙間だから大丈夫」という判断が通用しません。1.5cmを基準にしつつ、材料の強度まで含めて考える必要があります。
建物内は自由に移動できる
いったん侵入されると、対処はさらに難しくなります。住宅は内壁と外壁、天井と床が二層構造になっており、配管を通すスペースも各所にあるためです。
目黒区の資料も、侵入したネズミはこれらの空間を通路にして、ほとんどの壁内を移動できると説明しています。音がする場所と侵入口が離れているのは、このためです。
「2階の天井で音がするのに、侵入口は1階の床下だった」という状況も起こりえます。音のする場所だけを見て判断せず、建物全体を点検する必要があるでしょう。

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種類によって侵入口が変わる
家に入るネズミは主に3種類で、それぞれ得意な行動域が違います。どの種類かが分かれば、探す場所を絞り込めます。
クマネズミは高所から入る
住宅で最も多く見られるのがクマネズミです。身体能力が高く、電線や配管を伝って垂直に移動できます。
そのため2階以上の高い位置にある換気口、エアコンの配管穴、屋根裏の通気口が主な侵入口になります。天井裏から音がするなら、クマネズミの可能性が高いでしょう。
警戒心が強い点も特徴です。殺そ剤を置いても食べないことが多く、市販グッズだけでは対処しきれないケースが出てきます。だからこそ、侵入口を物理的に塞ぐ対策が中心となるでしょう。
ドブネズミは低い場所と水回り
ドブネズミは体が大きく、湿った環境を好みます。排水管や床下、下水溝まわりから侵入する傾向が見られます。
床下の基礎部分や、台所・トイレの排水口まわりを重点的に確認してください。床下から物音がする場合は、こちらを疑ってください。
ハツカネズミは最小の隙間を通る
3種類のなかで最も小型なのがハツカネズミです。1cm未満の隙間も通り抜けるため、他の種類では入れない場所からも侵入します。
換気扇カバーの小さな穴やダクト内部などが該当します。繁殖力も高いため、見つけたら早めの対処が必要でしょう。
室内でハツカネズミを見かけた場合は、より念入りに侵入経路を調べる必要があります。他の種類なら入れない隙間まで対象に含めなければならないためです。
侵入経路になりやすい10カ所
点検は床下・屋根まわり・壁と開口部の3つに分けて進めると漏れが減ります。
床下まわりの4カ所
基礎の換気口は、もともと開いている開口部です。網が張られていても、さびて破れていれば入口になります。設置から年数が経った住宅ほど、劣化している可能性が高くなるでしょう。
配管の立ち上がり部や、基礎と土台の隙間も候補です。排水管まわりはドブネズミが好む経路なので、水回りの床下は重点的に確認してください。
屋根まわりの4カ所
軒下や破風板は、木部が傷むと隙間ができます。屋根材の重なり部分にずれや浮きがないかも見ておきましょう。
屋根裏の換気口と、エアコンの配管が壁を貫通する部分も要注意です。施工時に詰めたパテが経年で縮み、隙間が生じているケースが少なくありません。
壁と開口部の2カ所
外壁のひび割れは、細くてもかじって広げられる可能性があります。塗装の劣化とあわせて点検してください。
意外に多いのが玄関まわりです。ドア下部の隙間、上がり框の下、戸袋や網戸の傷みなどが侵入口になります。窓のすぐ近くに物置や室外機があると、それを足場にされてしまいます。
開閉する部分は完全に固定されていないため、外壁よりもわずかな隙間が生じやすい構造です。ドアを閉めた状態で下から光が漏れるようなら、そこは点検の対象になります。
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ラットサインから侵入口を特定する
やみくもに探すより効率的なのが、痕跡から絞り込む方法です。ネズミが通った跡は「ラットサイン」と呼ばれ、侵入口へ導いてくれます。
黒い擦れ跡が最大の手がかり
ネズミは決まった道を繰り返し通ります。その際、体の油汚れが壁や配管に付着し、黒い擦れ跡として残るのです。
壁際を低い位置で移動する習性があるため、床と壁の境目あたりを重点的に見てください。黒ずんだ線状の汚れが続いていれば、そこが通り道です。
糞・かじり跡・足跡
糞も有力な手がかりになります。ネズミはため糞をせず、移動しながら排泄するため、通り道に点々と散らばります。ハクビシンやイタチのように一箇所へ固めない点が、見分けのポイントにもなるでしょう。
木材や配線、断熱材に細かい歯型が残っていれば、それもかじり跡です。さらに確実にしたい場合は、疑わしい場所に小麦粉や石灰を薄くまき、翌日に足跡が付くか確認する方法があります。
痕跡が集中する場所の近くを探す
ラットサインが多く見つかる場所ほど、頻繁に使われている経路です。その延長線上や近くに侵入口があると考えて、周辺を集中的に調べてください。
建物の図を簡単に描き、痕跡の位置を書き込んでいく方法もおすすめです。全体を俯瞰すると、どのあたりから入っているのかの見当がつきやすくなります。
ただし、建物内は壁の中を自由に移動できます。音や糞の位置がそのまま侵入口とは限らない点には注意が必要でしょう。
かじられない封鎖材料の選び方
材料選びを誤ると、数日で破られます。金属かモルタルでなければ、時間をかけてかじり破られると考えてください。
これらでは塞いだことになりません
使ってはいけない材料
手近にあるもので塞ぎたくなりますが、次の材料は避けてください。木の板やベニヤ、プラスチック、スポンジ、布、ガムテープ、発泡ウレタンは、いずれもかじられます。
盲点になりやすいのがアルミ製の網です。金属だから大丈夫と思われがちですが、アルミは柔らかく噛み破られてしまいます。
有効な材料
大阪市も、外壁のひび割れやエアコンダクト用の穴、通気口といった侵入口を、建材用パテ・金ダワシ・金属製のアミで塞ぐよう案内しています。
金網を選ぶ際は、ステンレス製で網目が1cm以下のものを選んでください。大きな開口部にはパンチングメタル、細い隙間には建材用パテ、床下の広い破損箇所にはモルタルという使い分けになります。
ステンレスを勧めるのは、屋外でさびにくいためです。せっかく塞いでも数年で腐食すれば、そこがまた入口に戻ってしまいます。長く効果を保つなら素材の耐久性まで見ておきましょう。
金属たわしは、配管まわりのような複雑な形状に押し込んで使えるため便利です。
場所別の使い分け
整理すると次のようになります。
金属たわしとパテを組み合わせると、かじられにくさが上がります。たわしで物理的に通れなくし、その上をパテで固める形です。
市販の製品には、ネズミが嫌う成分を配合したパテや金属たわしもあります。物理的な封鎖に忌避効果が加わるため、余裕があれば選択肢に入れてみてください。
開閉部は固い材料で塞げない
注意したいのが玄関ドアや窓です。開閉する部分をパテやモルタルで固めるわけにはいきません。
この場合は、隙間テープで物理的な幅を減らす、ドア下部にブラシ状の部材を取り付ける、といった対応になります。かじられにくい金属製の戸当たりを選ぶのも有効です。あわせて、窓の近くに足場になる物を置かないようにしましょう。
網戸の傷みも見落としがちです。破れやたるみがあれば張り替えておくと、ネズミだけでなく虫の侵入も防げるでしょう。
封鎖で失敗する3パターン
作業しても効果が出ない場合、次のいずれかに当てはまるケースが目立ちます。
網目が大きすぎる
ホームセンターで一般的に売られている金網は、ネズミ対策には目が粗い場合があります。1cmを超える網目なら、子ネズミは通り抜けてしまうでしょう。
購入前に網目の寸法を確認してください。「防虫用」「防鳥用」と書かれていても、ネズミには不十分なことがあります。用途表示ではなく、実際の寸法で判断しましょう。
端に隙間が残っている
金網を当てても、周囲に隙間があれば意味がありません。壁や枠にぴったり合わせ、針金やビスでしっかり固定してください。
浮きがあると、そこに爪をかけてこじ開けられる可能性もあります。取り付け後に手で押してみて、動かないかを確かめましょう。
屋外の封鎖では、風雨で緩んでくることもあります。半年に一度は外周を見て回り、固定が保たれているか点検しておくと安心です。
1カ所だけ塞いで満足する
侵入口が複数ある場合、1カ所を塞いでも別のルートから入られます。ラットサインが複数の場所で見つかったなら、その数だけ候補があると考えてください。
封鎖後も、しばらくは新しい糞や物音がないかを確認しましょう。数日たっても続くなら、塞ぎ残しがあります。
封鎖だけでは終わらない
侵入口をふさぐのは対策の柱ですが、それだけでは完結しません。
中に残った個体への対処
封鎖の前後で、すでに建物内にいる個体への対処が必要です。粘着シートや捕獲カゴを、ラットサインのある通り道に設置します。壁際を通る習性があるため、部屋の中央ではなく壁沿いに置くのがコツです。
ネズミは鳥獣保護管理法の対象外なので、自力での駆除に許可はいりません。ただしクマネズミは警戒心が非常に強く、殺そ剤を食べないことも多いとされています。大阪市も、食べられている食品に混ぜるなどの工夫を案内しました。
糞の清掃と消毒
糞を放置すれば、悪臭やダニの発生源になってしまいます。動物の糞には人にうつる病原体が含まれている可能性があり、厚生労働省も動物由来感染症について注意を呼びかけました。
清掃の際は、乾いた糞を霧吹きで湿らせてから回収してください。マスクと手袋を着け、掃除機は使わないようにしましょう。排気で菌をまき散らすためです。回収後は消毒液で拭き上げ、作業に使った道具も処分か洗浄を済ませておきます。
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ネズミの侵入経路に関するよくある質問
侵入口が見つかりません
ラットサインをたどるのが基本です。壁と床の境目に黒い擦れ跡がないか、糞が続いている方向はどこかを確認してください。それでも分からない場合は、建物の構造上見えない場所にある可能性があります。調査を無料で行う業者に相談する方法もあります。
侵入口は何カ所くらいありますか?
1カ所とは限りません。築年数が経った住宅では、小さな隙間が複数存在していることも珍しくないとされています。ラットサインが複数の場所で見つかるなら、その数だけ候補があると考えてください。
新築でもネズミは入りますか?
入る可能性はあります。換気口やエアコンの配管穴は、どの住宅にもある開口部です。建物の隙間をすべて完璧に塞ぐことは構造上難しいため、築年数を問わず点検しておくとよいでしょう。
超音波の装置で防げますか?
一時的な効果は期待できますが、慣れると効かなくなる傾向があります。設置しただけで解決した例は多くありません。侵入口の封鎖と組み合わせて、補助として使うのが現実的でしょう。
封鎖はDIYでもできますか?
低い位置で、侵入口が特定できていればできます。ただし床下は狭く釘や配線に注意が必要で、屋根まわりは転落の危険があります。無理に確認しようとせず、目視できる範囲で判断してください。
まとめ:1.5cmを基準に、金属で塞ぐ
ネズミが通れる隙間は、ハツカネズミで1cm、子ネズミで1.5cm、大人のネズミでも2.5cmとされています。指が第二関節まで入る隙間は、封鎖の対象と考えてください。
種類によって侵入口の傾向が変わります。屋根裏から音がするならクマネズミで高所、床下ならドブネズミで水回りが中心です。探す場所を絞り込む手がかりになります。
特定にはラットサインを使いましょう。壁沿いの黒い擦れ跡、点々と続く糞、かじり跡が通り道を示します。そして封鎖には、ステンレス金網(網目1cm以下)・金属たわし・建材用パテ・モルタルといった、かじられない材料を選んでください。木やプラスチック、アルミ網では破られます。侵入口が見つからない場合や高所の作業が必要な場合は、調査と見積りが無料の業者に相談するのが確実です。