ネズミ

壁の中のカリカリ音|正体は歯を削るネズミと火災リスク

壁の中のカリカリ音|正体は歯を削るネズミと火災リスク|壁の穴から電気配線をかじるネズミと火花、コンセントのイメージ

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夜、静かになった部屋で壁の向こうからカリカリと音がする。天井ではなく、壁の中。手を当てても何も分からず、けれど確かに何かがそこにいる。落ち着かない気持ちになるのは当然です。

この音には、はっきりした特徴があります。カリカリという音は「歩く音」ではなく「かじる音」です。そして、かじる習性を持つ動物は限られています。

もうひとつ知っておいてほしい点もあるでしょう。壁の中には電気配線が通っており、かじられれば火災の原因になりえます。複数の自治体が、この点について注意を促しました。

この記事では、音の正体をどう絞り込むか、壁の中という場所の特殊性、そして壁の中だからこそ避けるべき対処を整理しました。天井裏の被害とは進め方が変わります。

駆除費用ナビ 編集部 環境省・厚生労働省・国民生活センターなど公的機関の一次情報をもとに、害獣駆除の費用と法制度を調査・執筆しています。

壁の中のカリカリ音は「かじり音」

まず音の正体からです。ここが分かると、対処の方向も定まってきます。

ネズミがかじる理由。歯が生涯にわたって伸び続け、1年で約1センチ伸びるため、絶えず何かをかじって削る習性がある。かじる習性を持つのはネズミだけである

歯は生涯伸び続け、1年で約1cm伸びる

台東区は、ねずみの歯は生涯伸び続け、1年間に1センチメートル程度伸びるため、絶えず何かをかじって歯を削る習性があると案内しています。

この「かじらないと困る」という事情こそ、被害の根っこでした。食べるためではなく、歯を削るためにかじるので、対象が硬いかどうかはあまり関係ありません

かじる習性を持つのはネズミだけ

屋根裏に入り込む動物にはハクビシンやイタチ、アライグマもいますが、歯が伸び続けてかじり続ける必要があるのはネズミです。他の動物は歩く音や走る音は立てても、硬いものを削る音は出しません。

つまりカリカリ、ゴリゴリという硬い音が続いているなら、候補はほぼネズミに絞られます。これは判別のうえで大きな手がかりです。

クマネズミは壁の中を生活場所にする

静岡市は、クマネズミについて乾燥した場所を好み、天井裏や壁の中が主な生活場所であると説明しています。体長は約18〜22センチで、広い道路でも電線を伝って移動するとされています。

ハクビシンやイタチは体が大きく、壁の中には入れません。壁の中で音がするという時点で、相手は小型の動物に限られます

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壁の中は天井裏とは条件が違う

ここがこの記事でもっともお伝えしたい部分です。同じ「家の中で音がする」でも、壁の中は天井裏とできることがまるで違います。

壁の中と天井裏の条件の比較。点検口の有無、目視での確認、糞の清掃、死骸の回収、手がかりの5項目で違いがある。壁の中は点検口がなく、手がかりは音の情報だけになる

点検口がなく、目視で確認できない

天井裏には多くの場合、押し入れの天井などに点検口があります。危険なので上がるべきではありませんが、少なくとも中の様子は撮影できるでしょう。

壁の中にはそれがありません。どこに何匹いるのか、糞がどれだけ溜まっているのかを、外から知る方法がないのです

手がかりは音の情報だけになる

天井裏なら、糞の大きさや形、足跡、断熱材の荒れ方から状況を読み取れます。壁の中では、そのすべてが使えません。

だからこそ、音の記録が持つ意味が大きくなります。何時ごろ、壁のどのあたりで、どんな音がしたか。この情報が唯一の判断材料になると考えてください

死骸を取り出すには壁を開けるしかない

もっとも厄介なのがこれです。壁の中でネズミが死んだ場合、回収する手段がありません。悪臭が数週間続き、ダニが発生し、それでも取り出せないという状況になります。

解決するには壁を開ける工事が必要になり、数万円から十数万円の追加費用がかかるでしょう。この一点が、壁の中の対処を難しくしています

カリカリ音が示す火災リスク

音が聞こえる場所に、何があるかを考えてみてください。壁の中には配線が通っています。

かじり音から火災に至る流れ。配線をかじる、銅線が露出する、短絡や漏電が起きる、出火につながる。ブレーカーが落ちる、照明がちらつくといったサインが出る

電気コードをかじり火災の原因になる

静岡市は、ねずみの被害として「電気コードをかじり火災の原因になることがある」と明記しています。感染症の媒介や食害と並べて、火災リスクを挙げているわけです。

被覆が破れて銅線がむき出しになれば、短絡や漏電につながります。壁の中は人の目が届かないため、その状態に気づけないまま時間が過ぎてしまうでしょう

機器の破損や通信障害も起きる

新潟市は、家電製品のケーブルやパソコン関連のケーブルをかじることにより、短絡による機器の破損や火災、通信障害等を引き起こすと説明しています。

火災に至らなくても、実害は出てしまいます。原因不明の不調が続く場合、壁の中を疑う価値はあるでしょう。

見逃してはいけないサイン

次のような変化が音と同時期に起きているなら、配線がすでに傷んでいる可能性があります。ブレーカーが落ちるようになった、照明がちらつく、コンセント周りが焦げ臭い、特定の家電だけ動かない、壁が熱を持っている。

こうしたサインがある場合は、ネズミ対策より先に電気工事店や電力会社へ連絡してください。安全の確保が最優先です。

音の正体を確かめる3つの方法

壁を壊さずにできることを整理します。この段階で情報をそろえておくと、あとの判断が早くなります。

壁の中の音の正体を確かめる3つの方法。音がした時刻と鳴る位置を記録する、コンセント周りとラットサインを探す、動物ではない音と切り分ける

時刻と鳴る位置を記録する

何時ごろに音がしたか、壁のどのあたりか、床からどのくらいの高さかを書き留めてください。スマートフォンのメモで十分です。

3日分そろえば、業者に相談する際に「この壁のこの高さ」と伝えられるので、調査が短時間で終わります

コンセント周りとラットサインを探す

壁を壊さなくても、手がかりが表に出ていることがあります。コンセントや配線の貫通部まわりの黒ずみ、かじり跡、床の隅に落ちた粒状の糞などです。

ネズミの糞は種類によって大きさが違い、6mmから20mm程度です。見つけたら素手で触らず、写真を撮っておいてください。

動物ではない音と切り分ける

木造住宅では、建材が温度変化で伸び縮みしてパキッと鳴ることがあります。これは家鳴りで、単発で終わり、音が移動しません。

配管の音は、水を使った直後に鳴るのが特徴です。音が壁の中を移動していく、連続する、毎日ほぼ同じ時刻に始まる。この3つがそろえば動物と考えてよいでしょう

壁の中でやってはいけない対処

ここが天井裏との最大の違いです。取り出せない場所だからこそ、選択を誤ると取り返しがつきません。

壁の中でやってはいけない4つの対処。殺鼠剤をいきなり使う、燻煙剤で追い込む、壁を叩いて追い払う、中にいるまま侵入口を塞ぐ。いずれも壁の中で死骸が残る原因になる

殺鼠剤をいきなり使う

もっとも避けてほしいのがこれです。壁の中で死なれてしまえば、回収する手段がありません。悪臭が長く続き、ダニの発生源にもなります。

天井裏なら点検口から回収できる場面でも、壁の中では壁を開ける工事が必要になります。使うなら、出入りする経路を把握してからです。

燻煙剤で追い込む

煙で追い出そうとしても、逃げ道が確保されていなければ壁の奥へ入り込むだけです。かえって手が届かない場所へ移動させてしまいます。

屋根裏なら外へ出る経路がありますが、壁の中は構造が閉じています。同じ方法が通用すると考えないでください。

壁を叩いて追い払う

叩けばその場は静かになりますが、効果はそれだけです。数分後には戻ってきますし、配線の損傷は進んでいきます。

驚かせて動き回らせることで、かじられる範囲が広がる場合もあるでしょう。

中にいるまま侵入口を塞ぐ

穴を見つけると塞ぎたくなりますが、順序が逆です。閉じ込めれば内部で死に、結局は壁を開けることになります。

封鎖は、退去を確認してから行う作業です。ここは天井裏でも壁の中でも変わりません。


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正しい進め方と費用の目安

ここまでを踏まえた進め方をまとめます。壁の中の場合、プロに任せる比重が大きくなるでしょう。

記録を取り、調査を受ける

まず音の記録とコンセント周りの確認を済ませます。そのうえで現地調査を受け、侵入経路と被害範囲を特定してもらうのが現実的でしょう。

専門業者は、赤外線カメラやファイバースコープなど、壁を壊さずに内部を確認できる機材を持っている場合があります。自分で壁を開ける前に、一度相談する価値はあります

費用の目安

ネズミ駆除の費用は、追い出しと封鎖で済むなら3万円〜8万円程度、侵入口が複数あり清掃と消毒も必要なら8万円〜18万円が目安です。壁を開ける工事が加われば、そこにさらに上乗せされるでしょう。

配線が損傷している場合は、電気工事の費用も別途かかります。気づいた時点で動くほど、この上乗せを避けられます

業者を選ぶときの確認事項

封鎖と清掃まで一括で請け負えるか、再発保証があるかを確認してください。壁を開ける必要が出た場合の対応についても、事前に聞いておくと安心です。

国民生活センターは、すぐに作業しないと被害が増えるなどと不安をあおり、その場で契約させようとして他社と比較する機会を奪う事業者とは契約しないよう呼びかけています。2社から3社の見積りを取ってください。

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よくある質問

壁の中の音が数日で止まりました。もう大丈夫でしょうか。

移動しただけの可能性があります。天井裏や床下で音がしないか、糞が新しく落ちていないかを数日かけて確認してください。侵入できる隙間が見つかったなら、塞いでおくことをおすすめします。

壁を開けて確認したほうが早いですか。

おすすめしません。開ける位置を誤れば無駄な補修が発生しますし、配線や配管を傷つける危険もあります。業者が壁を壊さずに内部を確認できる機材を持っている場合もあるので、まず相談してください。

賃貸住宅の場合はどうすればよいですか。

まず管理会社か大家さんに連絡してください。壁の内部は建物の構造に関わるため、所有者の判断が必要です。自己判断で業者を手配する前に、一報を入れておくとやり取りがスムーズに進みます。

カリカリ音がしても、糞が見つかりません。

壁の中だけで活動している場合、室内に糞が落ちてこないことがあります。糞がないからいないとは限りません。音の記録を残し、コンセント周りのかじり跡や黒ずみも確認してみてください。

まとめ

壁の中から聞こえるカリカリ音は、歯を削るためにかじっている音である可能性が高い音です。ねずみの歯は生涯伸び続け、1年間に1センチメートル程度伸びるため、絶えず何かをかじる必要があります。かじる習性を持つのはネズミだけで、クマネズミは天井裏や壁の中を主な生活場所にしていました。

壁の中は天井裏と条件が違います。点検口がなく目視で確認できず、糞の清掃もできず、死骸を取り出すには壁を開けるしかありません。手がかりは音の情報だけです。

そして壁の中には配線が通っています。静岡市は電気コードをかじり火災の原因になることがあるとし、新潟市は短絡による機器の破損や火災、通信障害等を挙げています。ブレーカーが落ちる、照明がちらつくといった変化があれば、先に電気工事店へ連絡してください。

殺鼠剤をいきなり使う、燻煙剤で追い込む、壁を叩く、中にいるまま塞ぐ。いずれも壁の中では避けるべき対処です。音の時刻と位置を記録したうえで、現地調査と見積りが無料の業者に一度見てもらうところから始めてください。状況を確かめるだけなら費用はかかりません。