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天井裏でドタドタと重い足音がする、獣のような臭いが漂う、天井に茶色いシミが広がってきた。こうした症状が出ているなら、屋根裏にハクビシンが棲みついている可能性があります。
まず知っておきたいのは、追い出すこと自体は自分でもできるという点です。捕獲には許可が必要ですが、追い出しと侵入口をふさぐ作業に許可はいりません。多くの自治体も、住民向けに追い払う方法を公式サイトで案内しているほどです。
ただし、手順を間違えると屋根裏で死なせてしまったり、子どもだけが壁の中に取り残されたりと、かえって費用がかさむ事態を招きます。
この記事では、ハクビシンを追い出す5つのステップと、使うグッズの選び方、やってはいけない行動、自力では難しいケースの見極め方まで順に整理しました。
ハクビシンの追い出しは自分でできる
結論として、ハクビシンの追い出しと侵入口の封鎖は、許可なしで誰でも実施できます。捕獲だけが許可制になっているため、この線引きさえ押さえておけば安心して作業に取りかかれるでしょう。
追い出しと封鎖に許可はいらない
鳥獣保護管理法が禁じているのは、許可のない「捕獲」と「殺傷」です。煙や臭いで嫌がらせをして自主的に出ていってもらう行為、出ていった後に穴をふさぐ行為は、この規制の対象にあたりません。
実際に、自治体の公式ページでも住民向けの自己防衛策として案内されています。酒田市は、ホームセンターで購入できるくん煙殺虫剤をまいて追い払い、追い払えたら侵入口をふさぐという手順を紹介しています。
捕獲は無許可だと違法になる
一方で、罠を仕掛けて捕まえる行為は明確に違法です。違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。「家に入ってきたのだから捕まえてもいい」という理屈は通りません。
どうしても捕獲したい場合は、自治体に有害鳥獣捕獲の許可を申請する流れになります。ただし申請から許可が下りるまで日数を要するため、被害を早く止めたいなら追い出しと封鎖に絞るほうが現実的でしょう。
なお、捕獲が許可されたとしても、捕まえた個体の処分まで自分で行う義務が生じます。箱わなを貸し出している自治体でも、1日1回以上の点検や適切な処分が条件として定められており、想像以上に負担の重い作業だと言えるでしょう。
ハクビシンを追い出す5つのステップ
追い出しは「侵入口の特定 → くん煙剤 → 退去確認 → 封鎖 → 清掃」の順に進めます。この順番を入れ替えると閉じ込め事故につながるため、飛ばさずに進めてください。
ステップ1:侵入口を特定する
最初にやるべきは、どこから出入りしているかを突き止める作業です。ここが分からないままでは、追い出しても必ず戻られてしまいます。
建物の周りを下から上まで順に見ていきましょう。特に見落としが多いのが基礎コンクリートの通風口で、本来は鉄の網でふさがれていても、経年でさびて壊れている場合があります。
候補が絞れたら、確かめるのに使える方法を試してみてください。疑わしい穴の下の地面に石灰などの白い粉をまいておき、翌日に足跡が残っていれば侵入口だと判断できます。夜間に出入りする習性を利用した方法です。
ステップ2:くん煙剤で追い出す
侵入口が分かったら、くん煙剤(くん煙殺虫剤)を焚いて煙で追い立てます。ホームセンターやドラッグストアで手に入る製品で構いません。
焚く位置には注意が必要です。侵入口から遠い場所で焚き、出口に向かって煙が押し出す形にしてください。侵入口のすぐそばで焚くと、逆に建物の奥へ逃げ込んでしまいます。
時間帯は、活動が始まる夕方から夜にかけてが向いています。作業中は火災に十分注意し、使用後は必ず換気を行ってください。
屋根裏が広い住宅では、1個では煙が行き渡らないことがあります。製品に記載された適用面積を確認し、必要なら複数個を同時に焚くほうが確実です。
ステップ3:出ていったか確認する
ここが最も飛ばされやすく、最も重要な工程です。煙を焚いた直後にふさいでしまうと、中に残っていた個体を閉じ込める結果になります。
数日は天井裏の物音に耳をすませ、足音や鳴き声が完全に止んだかを確かめましょう。侵入口に新聞紙を軽く貼っておき、破られていなければ出入りが止まった目安になります。
ステップ1で使った石灰の粉も、ここで再び役立ちます。数日経っても新しい足跡が付かなければ、屋根裏から出ていったと判断してよいでしょう。急がずに時間をかけて見極めることが、後の大きなトラブルを防ぎます。
ステップ4:侵入口を封鎖する
退去が確認できたら、すべての侵入口をふさぎます。使う材料は金網やパンチングメタルなど、かじられない硬さのあるものを選んでください。
スポンジやテープのような柔らかい詰め物だけでは、爪と歯で破られて再侵入を許します。ビス留めやコーキングでしっかり固定することが欠かせません。
あわせて、屋根に届く庭木の枝を剪定しておきましょう。ハクビシンは垂直な外壁を登れないため、庭木から屋根へ飛び移るルートを断つだけでも侵入されにくくなります。
ステップ5:糞尿を清掃・消毒する
最後に、屋根裏に残った糞尿を片づけましょう。同じ場所に排泄を繰り返す「ため糞」の習性があるため、放置すると天井板が腐り、張り替えを余儀なくされます。
糞にはダニや菌が付着している可能性があるので、マスク・手袋・長袖を必ず着用し、乾いた糞の粉じんを吸い込まないよう注意してください。片づけた後は消毒までセットで行いましょう。

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追い出しに使えるグッズと費用の目安
追い出しの中心になるのはくん煙剤で、忌避剤や音・光の装置は補助的な位置づけです。金網などの封鎖材料も忘れずに用意しておきましょう。
長く効くのは道具より塞ぐ作業です
くん煙剤がもっとも確実
煙による刺激は嗅覚の鋭いハクビシンに効きやすく、複数の自治体が住民向けに紹介している方法でもあります。価格は1,000円〜2,000円ほどで、必要な個数は屋根裏の広さしだいです。
忌避剤は寄せつけない目的で使う
木酢液を薄めたものや市販の動物忌避スプレーは、臭いで近づきにくくする役割を担います。船橋市も、こうした忌避剤を使うことで寄りつきにくくなると案内しました。
ただし臭いは日が経つと薄れるため、定期的に散布し直す必要があります。追い出しの主役ではなく、封鎖後の再発予防として使うのが現実的な位置づけでしょう。
超音波や光には過度に期待しない
超音波発生器やフラッシュライトは手軽ですが、慣れてしまうと効果が薄れる傾向があります。設置しただけで解決した事例は多くなく、単独の対策としては心もとないでしょう。
グッズ全体の費用をまとめると、次の通りです。
この表の金額は、当編集部が2026年8月時点で駆除業者10社の公開料金と施工事例を調査してまとめた目安です。害獣駆除には国や自治体が定めた公定価格はありません。実際の金額は現地調査を受けたうえでの見積もりで確認してください。
一式そろえても5,000円〜1万5,000円ほどに収まるため、費用面のハードルは高くありません。問題になるのは、後述する作業の難しさと危険性のほうです。
侵入口になりやすい6カ所
侵入口は「いかにも穴」という見た目をしていないことが多く、建物の部材どうしのつなぎ目に潜んでいます。次の6カ所を重点的に確認してください。
頭が入る隙間があれば通り抜ける
体格からは想像しにくいものの、ハクビシンは頭さえ通れば体を押し込んで侵入します。船橋市は、8cm四方ほどの隙間があれば入り込むと注意を促しています。
この寸法を頭に入れて建物を眺めると、これまで気にしていなかった開口部が候補として浮かび上がってくるはずです。定規で測るというより、「怪しい隙間はすべて封鎖対象として拾う」という姿勢で臨みましょう。
屋根裏に上がれる住宅なら、日中に点検口から中をのぞいてみるのも有効です。外から光が差し込んでいる箇所があれば、そこが外部とつながっている証拠になります。
特に見落としやすい場所
床下の通風口は地面に近く、しゃがまないと確認できないため見落とされがちです。増築した住宅では、建物どうしの接続部に構造上の隙間が残っているケースもあります。
また、屋根と屋根が重なる部分の奥は地上からは死角になります。2階以上の高所にある侵入口は、無理に自分で確認しようとせず業者に任せてください。転落事故のリスクが実際の被害よりも大きくなりかねません。
追い出しでやってはいけない3つの行動
追い出しの失敗は、閉じ込め・子どもの取り残し・塞ぎ残しの3つに集約されます。いずれも二次被害を招き、結果的に費用が跳ね上がる原因になります。
確認せずに侵入口を塞ぐ
もっとも避けたいのが、中に残った個体ごとふさいでしまう事態です。逃げ場を失った個体は屋根裏で死に、強烈な悪臭とともにウジやハエが大量に発生します。
回収するには天井や壁を一部壊す工事が必要になり、追い出しの手間を惜しんだ結果として数十万円の出費につながることもあります。ステップ3の退去確認は、必ず数日かけて行ってください。
子どもがいる時期に煙を焚く
ハクビシンは決まった繁殖期を持たず、年間を通じて出産します。そのため「春だけ気をつければよい」という考え方は通用しません。
屋根裏から高い鳴き声や小さな物音が聞こえるなら、子育て中かもしれません。この状態で煙を焚くと、親は子どもを壁の隙間に押し込んで自分だけ逃げ、取り残された子どもが中で死んでしまいます。
壁の中に隠された個体を取り出すには壁の解体が要るため、被害はさらに大きくなります。子どもの気配があるなら、自力での追い出しはあきらめて業者に相談しましょう。
侵入口を1カ所でも塞ぎ残す
複数ある侵入口のうち1カ所でも開いていれば、追い出しの効果は失われます。ハクビシンには居心地のよい場所に戻ろうとする性質があり、数日のうちに再び棲みつかれてしまうでしょう。
とくに屋根裏は、雨風がしのげて外敵も来ない好条件がそろっています。断熱材が敷かれていれば寝床にも困りません。一度覚えた場所への執着は強く、追い払っただけで安心はできないと考えてください。
また、ふさいだ穴とは別のルートを見つけて入り込み、被害箇所が移動する場合もあります。物音のする位置が変わったときは、封鎖に漏れがあったサインだと考えてください。
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自分で追い出せないケースと業者依頼の目安
次の項目に1つでも当てはまるなら、自力での解決は難しくなります。無理に進めるより、調査を依頼したほうが早く安く片づく場面です。
業者に任せたほうがよい状況
チェックリストの各項目には、それぞれ自力では越えにくい壁があります。道具の問題と安全の問題が絡むため、気合いや工夫では解決しにくい部分です。
- 子どもの鳴き声がする:煙を焚くと取り残しが起きるため、専門的な対応が必要になる
- 侵入口が見つからない:赤外線カメラやファイバースコープがないと死角を追えない
- 侵入口が高所にある:屋根での作業は転落事故につながる
- くん煙剤を試しても物音が続く:別ルートへ移動しただけの可能性がある
- 天井にシミや腐りがある:清掃と修繕まで含めた工事が要る
業者に依頼した場合の費用
ハクビシン駆除を業者に頼んだ場合の費用は、被害の程度によって幅があります。軽度なら数万円、糞尿被害や修繕が加わると数十万円規模になるのが一般的です。
業者に任せるメリットは、金額そのものより工程の確実さにあります。赤外線カメラで残留個体の有無を確認したうえで封鎖まで一気に進められるので、閉じ込め事故や塞ぎ残しの心配がありません。
現地調査と見積りを無料で行う業者を選べば、状況の確認と金額の提示までは0円で済ませられます。自分でやるか任せるかの判断材料として、まず調査だけ受けてみるという進め方もあります。
ハクビシンの追い出しに関するよくある質問
追い出しにはどのくらい時間がかかりますか?
くん煙剤を焚いてから退去を確認するまでに数日、封鎖と清掃を含めると1週間から2週間ほど見ておくとよいでしょう。ただし侵入口の特定に手間取ると、その分だけ長引きます。休日しか作業できない場合は、1カ月近くかかることも想定しておいてください。
一度追い出せばもう戻ってきませんか?
侵入口をすべてふさげていれば戻ってきません。逆に言えば、封鎖が不完全なうちは何度追い出しても同じことの繰り返しになります。追い出しと封鎖は必ずセットで考えてください。
市役所は追い出しをやってくれますか?
ほとんどの自治体は、個人宅の駆除そのものは実施していません。対策方法の案内や、条件を満たす場合の箱わな貸し出しにとどまるのが一般的です。実際の作業は所有者が行うか、業者へ依頼する形になります。
足音の主がハクビシンかどうか分かりません
ドタドタと重い足音ならハクビシンやアライグマ、カサカサと軽い音ならネズミの可能性が高くなります。糞の大きさも手がかりで、ハクビシンの糞は5cm前後と大きく、果実の種が混じっている点が特徴です。動物によって法律上の扱いも対処法も違うため、判断がつかないときは調査で特定してもらうのが確実でしょう。
ハクビシンに近づいても大丈夫ですか?
近づかないでください。臆病な性格ですが刺激を受けると攻撃してくることがあり、咬まれたり引っかかれたりする危険があります。ダニやノミ、感染症のリスクもあるため、直接接触は避けましょう。エサを与えるのも厳禁です。人に慣れて居着いてしまうと、被害の長期化を招きかねません。
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まとめ:追い出しと封鎖はセットで進める
ハクビシンの追い出しは、侵入口の特定からくん煙剤、退去確認、封鎖、清掃という5つのステップで進めます。追い出しと封鎖に許可は不要なので、条件がそろっていれば自分で対処できます。
気をつけたいのは順番です。退去を確認しないまま穴をふさげば閉じ込め事故になり、子どもがいる時期に煙を焚けば壁の中に取り残されます。どちらも数十万円規模の追加工事につながりかねません。
侵入口が見つからない、高所にある、子どもの鳴き声がするといった場合は、自力での解決にこだわらないほうが結果的に早く安く済みます。調査と見積りが無料の業者なら、状況を確認するだけでも費用はかかりません。屋根裏の音に気づいた段階で、一度プロの目を入れてみてください。