アライグマ

和歌山のアライグマ駆除|年388頭でも根絶できない理由

和歌山のアライグマ駆除|年388頭でも根絶できない理由|和歌山城と市街地を背景に瓦屋根の隙間から顔を出すアライグマ、捕獲数388頭を示すグラフ

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屋根裏でドスンドスンと重い音がする。和歌山市でアライグマの被害に気づいたとき、「市に言えば捕まえてもらえるのでは」と考える方は多いはずです。

実際、和歌山市はかなり積極的に捕獲を進めています。国の確認を受けた防除実施計画に基づき、令和4年度は385頭、令和6年度は11月末の時点ですでに388頭を捕獲しました。目標は「根絶」です。

ところが、市はその計画書のなかで踏み込んだ記述をしています。生息域はほぼ市内一円に広がり、根絶は困難な状況であると、自ら記しているのです。

この記事では、和歌山市が公表している資料をもとに、捕獲の実績と限界、アライグマ特有の法規制、そして住宅に入られた場合の現実的な進め方を整理しました。

駆除費用ナビ 編集部 環境省・厚生労働省・国民生活センターなど公的機関の一次情報をもとに、害獣駆除の費用と法制度を調査・執筆しています。

和歌山市は年間400頭近くを捕獲している

まず数字から確認しましょう。市が公表している捕獲実績は、決して少なくありません。

和歌山市のアライグマ捕獲頭数。令和4年度は385頭、令和5年度は341頭、令和6年度は11月末の時点で388頭となり、前年度を超えている

令和6年度は11月末で前年度を超えた

市の資料によれば、アライグマの捕獲頭数は令和4年度が385頭、令和5年度が341頭、そして令和6年度は11月末の時点で388頭に達しています。

年度の途中である11月末で、すでに前年度の年間実績を上回っています。捕獲活動そのものは、着実に進んでいると言えるでしょう。

国の確認を受けた計画に基づいている

この捕獲は思いつきで行われているわけではありません。特定外来生物法の規定により国の確認を受けた「和歌山市アライグマ防除実施計画」に基づき、根絶を目指して推進されています。

捕獲に従事するのは、鳥獣被害対策実施隊の隊員、猟友会の会員、そして委託業者です。市は報償金も交付しています。

捕獲を担っているのは誰か

市の計画では、捕獲従事者として鳥獣被害対策実施隊の隊員、猟友会の会員、委託業者が挙げられています。それぞれの捕獲実績を合わせた頭数が、先ほどの数字です。

つまり市の職員が直接すべてを担っているわけではなく、地域の狩猟者や外部の事業者と組んで進めている体制です。担い手の確保そのものが課題として計画に書かれている点も、実情を映しています

それでも被害相談は増えている

市の資料では、令和6年度はイノシシやアライグマ等の被害相談件数が増えていると示されています。捕獲数が伸びる一方で、相談も増えているという状況です。

数字だけを見れば対策は進んでいるのに、住民の実感は違う。この食い違いには、はっきりした理由があります

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市自身が「根絶は困難」と記している

ここがこの記事でもっともお伝えしたい部分です。行政が公式文書で自らの施策の限界に触れるのは、めずらしいことです。

和歌山市が示す根絶は困難という構図。計画の目標は根絶であるが、生息域はほぼ市内一円に広がっている。市自身が計画書に根絶は困難な状況であると記している

計画書に書かれた一文

和歌山市の鳥獣被害防止計画には、アライグマの生息域はほぼ市内一円に広がり、根絶は困難な状況であるという記述があります。防除実施計画により報償金を交付して根絶を目指している、と併記されたうえでの表現です。

年間400頭近くを捕獲しながら、それでも追いつかない。これは和歌山市の対策が不十分だという話ではなく、アライグマという動物の繁殖力と適応力の高さを示しています

「捕獲だけでは解決にならない」

同じ計画書には、捕獲に頼る対策だけでは被害の真の解決にはならないとも書かれていました。そのうえで、防護柵や自覚のない餌やりの根絶による住み分けを進めるとのことです。

つまり市の方針は、捕獲と並行して環境側を変えることです。餌になるものを置かない、入れない構造にする。この2つが求められています。

住宅の被害は住む側が動くしかない

市の捕獲は、農作物被害や地域全体の個体数管理を主眼としたものです。個人宅の屋根裏に入り込んだ1匹について、市が来て捕まえてくれるという仕組みではありません。

ここを取り違えると、待っている間に被害が進みます。相談は有効ですが、実際の追い出しと封鎖は自分で進めるか、業者に依頼することになります

アライグマだけ規制が二重になる

対処を進める前に、法律の確認が必要です。アライグマは他の害獣より扱いが厳しくなります。

アライグマは鳥獣保護管理法と外来生物法の二重の規制を受ける。外来生物法では飼養や保管、生きたままの運搬、放出が禁止されている。鳥獣保護管理法では無許可の捕獲が禁止されている。追い出しと侵入口の封鎖は許可なく行える

鳥獣保護管理法と外来生物法

アライグマは鳥獣保護管理法の保護対象であり、無許可の捕獲や殺傷は認められていません。環境省は、違反した場合に1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されると示しています。

加えて、特定外来生物にも指定されています。生きたまま運ぶこと、飼うことも禁止されているため、「捕まえて山に放す」という発想は成り立ちません

防除実施計画があると手続きが変わる

一方で、自治体が防除実施計画を持つ場合、その計画に基づく捕獲には別の手続きが用意されています。和歌山市は国の確認を受けた計画を持っているため、この枠組みが機能してきました。

ただし個人が自宅の被害で参加できるかは、状況によって異なります。まず市の担当窓口へ問い合わせ、自分のケースがどう扱われるかを確かめてください

追い出しと封鎖は許可なく行える

捕獲には制約がありますが、忌避剤で出ていってもらうこと、侵入口を塞ぐことは規制の対象外です。この2つであれば、今日からでも取り組めます。

むしろ市が求めているのも、この方向です。餌になるものを片づけ、入れない構造にする。ここが被害を止める本筋になります。

家に入られたときの手順

実際の進め方を4つのステップにまとめます。順序を守れば、余計な費用は生じません。

アライグマに家へ入られたときの4ステップ。まず近づかない、市の担当窓口へ相談する、追い出しと封鎖を進める、糞尿の清掃と消毒を行う。出産期は封鎖の時期に注意する

まず近づかない

アライグマは見た目に反して気性が荒く、追い詰められると威嚇や反撃に出ます。体重は数キロあり、爪も鋭いため、素手で対処してよい相手ではありません。

姿を見かけても、写真を撮る程度にとどめてください。子育て中の個体はとくに警戒心が強くなります。

市の担当窓口へ相談する

捕獲が必要な状況かどうかは、素人には判断がつきません。まず市の担当窓口へ状況を伝え、どう扱われるかを確かめてください。

その際、音がした時刻、糞の写真、外周で見つけた開口部の場所を伝えられると話が早く進みます。

追い出しと封鎖を進める

忌避剤などで出ていってもらい、退去を確認してから侵入口を塞ぎます。この順序は必ず守ってください。中にいる状態で塞げば閉じ込め事故になり、内部で死んだ個体が悪臭とダニの発生源になります。

アライグマは前肢が器用で、地際から潜り込んだり構造物を登ったりする動物です。封鎖箇所は高所も含めて広く見る必要があります

糞尿の清掃と消毒

アライグマは体が大きく、糞の量も多くなります。天井裏に堆積すれば天井板が腐り、悪臭も建材にしみ込んでいくでしょう。

乾いた糞は粉じんになるため、防護具なしでの作業は避けてください。量が多い場合は、業者に任せるほうが安全です。

出産期は封鎖の時期に注意

アライグマの出産期は4月から6月とされ、1回に3〜6頭を出産します。この時期に親だけを追い出して塞げば、動けない子が取り残されます。

細い鳴き声が複数聞こえる場合は、封鎖の前に専門家へ相談してください。取り残された子が中で死ねば、天井を開ける工事が必要になります

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和歌山のアライグマ駆除費用の相場

業者に依頼する場合の金額感です。アライグマは他の害獣より高くなりやすい傾向があります。

和歌山のアライグマ駆除費用の目安。追い出しと封鎖で5万円から12万円、清掃と消毒を含めて12万円から30万円、修繕まで含めて30万円から60万円

作業範囲ごとの目安

追い出しと侵入口の封鎖だけで済むなら5万円〜12万円程度、清掃と消毒、複数箇所の封鎖まで含めると12万円〜30万円が目安です。断熱材の交換や天井の補修まで必要なら、30万円〜60万円を見ておくことになります。

体の大きさと糞の量が、そのまま作業量に響きます。ネズミやイタチと比べて金額が上がりやすいのは、この点が理由です

和歌山という土地の事情

和歌山市は市街地と農地、山林が近い距離で接しています。市の資料でも、アライグマの生息域はほぼ市内一円に広がっているとされました。住宅地だから安全という前提が、そもそも成り立ちにくい環境です。

また、みかんをはじめとする果樹の産地でもありました。庭先に果樹があるお宅では、落ちた実がそのまま餌になってしまう点にも注意が要ります。市が「自覚のない餌やり」という表現を使っているのは、こうした状況を指したものでしょう。

費用が上がるケース

和歌山市のように個体数が多い地域では、1回の作業で終わらず再訪問が必要になることがあります。訪問回数が増えれば、その分だけ人件費が積み上がります。

屋根に上がる足場が必要な家、屋根裏が広い家、糞尿の放置期間が長く脱臭まで要る家も高くなりやすい条件です。見積は「一式」ではなく作業ごとの単価で受け取ってください。

業者を選ぶときの確認事項

依頼先を選ぶ際の視点をまとめます。トラブルは実際に報告されているので、慎重に進めてください。

封鎖と清掃まで一括で頼めるか

追い出しだけでは再発します。封鎖と清掃・消毒まで一括で請け負えるかを確認してください。再発保証の年数と適用条件も、業者によって差が出る部分です。

アライグマの捕獲には手続きが必要になるため、その対応経験があるかもあわせて確かめておきましょう。

再発を前提にした条件が書かれているか

市自身が根絶は困難だと記している以上、一度の作業で終わる前提の見積は現実的ではありません。再訪問が必要になったときの費用が、契約に含まれるのかを確かめてください。

2社から3社を比べると、再発時の扱いに差が出やすいことが分かります。

一度で根絶できると言い切る業者

和歌山市は防止計画の中で、アライグマの根絶は困難な状況にあると記しています。市が難しいと認めている相手について、一度の作業で根絶できると即決を求める説明は、そのまま受け取らないほうが安全です。

国民生活センターは、不安をあおって契約を急がせ、他社と比較する機会を奪う事業者とは契約しないよう呼びかけています。広告と異なる高額な請求を受けた相談も寄せられています。

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よくある質問

市に連絡すれば、屋根裏のアライグマを捕まえてもらえますか。

市は防除実施計画に基づく捕獲を進めていますが、個人宅の被害について職員が来て捕獲するという仕組みではありません。まず担当窓口へ相談し、どう扱われるかを確かめてください。実際の追い出しと封鎖は、自分で進めるか業者に依頼することになります。

捕まえたアライグマを山に放してもよいですか。

できません。アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたまま運ぶことも飼うことも禁止されています。そもそも無許可の捕獲自体が鳥獣保護管理法に違反します。

これだけ捕獲しているのに、なぜ減らないのですか。

市の計画書には、生息域がほぼ市内一円に広がり根絶は困難な状況であると記されています。繁殖力が高く、1回に3〜6頭を出産することが背景にあるといえるでしょう。だからこそ市は、捕獲だけでなく餌やりの根絶や住み分けを進める方針を示しています。

ハクビシンとの見分けがつきません。

どちらも重い足音を立てるため、音だけの判別は困難です。糞の大きさ、落ちている場所、しっぽの模様が手がかりになります。アライグマはしっぽに輪状の模様があるのが特徴です。判断がつかない場合は、現地調査で確かめてもらうのが確実でしょう。

まとめ

和歌山市は、国の確認を受けた「和歌山市アライグマ防除実施計画」に基づき、根絶を目指して捕獲を進めています。捕獲頭数は令和4年度が385頭、令和5年度が341頭、令和6年度は11月末で388頭に達しました。

一方で市は、生息域がほぼ市内一円に広がり根絶は困難な状況であると計画書に記しています。捕獲に頼る対策だけでは被害の真の解決にはならないとして、防護柵や餌やりの根絶による住み分けを進める方針です。

アライグマは鳥獣保護管理法と外来生物法の二重の規制を受けます。無許可の捕獲は違法で、生きたまま運ぶことも飼うこともできません。ただし追い出しと侵入口の封鎖であれば、許可なく取り組めます。

家に入られたら、まず近づかず、市の窓口へ相談し、追い出しと封鎖を進め、最後に清掃と消毒を行う。この順序を守ってください。出産期の4月から6月は、子が取り残されないよう時期の判断が必要になります。費用は作業範囲によって5万円〜60万円と幅がありますが、現地調査と見積りが無料の業者であれば、状況を確かめるだけなら費用はかかりません。