コウモリを勝手に捕獲・殺傷すると違法になる
結論から述べると、許可なくコウモリを捕まえたり傷つけたりする行為は法律違反です。自宅に住み着いている場合でも、この原則は変わりません。
鳥獣保護管理法で保護されている理由
コウモリは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」、いわゆる鳥獣保護管理法の対象です。この法律は野生の鳥類と哺乳類全般を保護しており、原則として許可のない捕獲・殺傷を禁じています。
害獣というイメージが強いため意外に思われますが、コウモリは哺乳類に属するため保護対象に含まれます。なお、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種は衛生害獣として例外的に対象から外れており、ネズミとは扱いが異なる点に注意しましょう。
罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
許可を受けずに捕獲・殺傷した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
被害を受けている本人でも例外にはなりません
家に侵入されていても例外にならない
「自分の家に入ってきたのだから対処して当然だ」と感じるかもしれません。しかし法律上、被害の有無にかかわらず捕獲には許可が必要です。
しかも一般家庭のコウモリ被害では、捕獲許可が下りにくいという現実があります。許可は農林業への被害防止などを目的とする場合に認められるもので、住宅への侵入では要件を満たさないことが多いためです。
つまり現実的な選択肢は「捕まえずに追い出す」しかありません。
なぜ害獣なのに保護されているのか
被害を受けている立場からすると、なぜ保護されるのか納得しにくいかもしれません。理由は生態系での役割にあります。
アブラコウモリは1晩で数百匹の昆虫を捕食するとされ、蚊やユスリカなどの個体数を抑える働きをしています。人の生活圏に近い場所に棲むぶん、その効果は身近です。
法律が守っているのは「コウモリという種」であって、住宅への侵入を認めているわけではありません。だからこそ、殺さずに追い出すという対処が認められています。
違法になる行為とならない行為の境界線
禁止されているのは「捕獲」と「殺傷」であり、それ以外の対処は許可なしでおこなえます。この線引きを理解しておけば、法律を守りながら被害を減らせるでしょう。
触れずに追い払う対処なら許可は要りません
許可不要でできること
コウモリを傷つけず、触れずに追い払う行為は法律の対象外です。次のような方法が該当します。
- 忌避スプレーや燻煙剤で巣から追い出す
- 強い光やラジオの音で居心地を悪くする
- コウモリが出ていったあとに侵入口を塞ぐ
- 糞を清掃して消毒する
- 隙間をあらかじめ塞いで侵入を予防する
被害を止めるうえでもっとも効果が高いのは、追い出しではなく侵入口の封鎖です。出入りできなくなれば、住み着かれる状態そのものが解消されます。
違法になる行為
一方で、次の行為は捕獲・殺傷にあたるため許可が必要です。知らずにおこなうと違反になります。
- 素手や虫取り網で捕まえる
- 粘着トラップやネズミ捕りを設置する
- 毒餌や殺虫剤を使う
- 棒などで叩き落とす
- 捕まえた個体を飼育する
とくに注意したいのが粘着トラップです。ネズミ用の製品を流用する方がいますが、コウモリがかかると捕獲行為とみなされ、違法になるおそれがあります。
うっかりやりがちなNG行動
悪気がなくても違反につながる行動があります。代表的なのが、室内に入り込んだコウモリを追い回すことです。
驚いたコウモリが壁や家具にぶつかって傷つくと、結果的に殺傷とみなされる可能性があります。室内に入られた場合は、明かりを消して窓を全開にし、自分から出ていくのを静かに待つのが最も安全です。
やってはいけない3つの失敗パターン
法律を守るつもりでも、手順を誤ると違反や被害の悪化を招きます。とくに多い3つを確認しておきましょう。
① 追い出す前に侵入口を塞ぐ
もっとも起こりやすい失敗がこれです。「隙間を塞げば入ってこなくなる」と考えて先に封鎖すると、中にいる個体を閉じ込めてしまいます。
閉じ込めて死なせた場合、殺傷にあたるとみなされる可能性があります。さらに死骸から悪臭が発生し、ダニやウジが湧くという二次被害も避けられません。順番は必ず「追い出す→塞ぐ」です。
② 7〜8月の子育て期に追い出す
アブラコウモリは7月上旬に出産のピークを迎え、生まれた子どもは1か月ほど飛べません。この時期に親を追い出すと、子どもだけが取り残されます。
結果として子どもが死んでしまい、これも法律違反となるリスクがあります。追い出しに適しているのは、子どもがいない4月から6月上旬と、子どもが飛べるようになった9月から10月です。
この「子が取り残される」という問題は、コウモリに限りません。細い鳴き声が複数聞こえるなら、どの害獣でも封鎖の時期を見直す必要があります。
③ 素手で触る・掴む
コウモリに触れる行為は、それ自体が捕獲にあたる可能性があります。加えて、噛まれたり引っかかれたりすれば感染症のリスクも生じます。
死んでいるように見える個体でも、素手で触らないでください。動かない状態でも生きていることがあり、突然噛みつくことがあります。

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もし誤って傷つけてしまったら
作業中に誤ってコウモリを傷つけてしまう、あるいは死なせてしまうことがあります。その場合の対処を知っておきましょう。
自治体の担当窓口へ正直に伝える
まずは落ち着いて、お住まいの市区町村の鳥獣保護担当窓口へ連絡してください。環境課や環境政策課が窓口になっていることが多いでしょう。
偶発的な事故であれば、ただちに重い罰則が科されるとは限りません。状況を正直に説明し、指示を仰ぐことが適切な対応です。
死骸の処分方法と注意点
死骸を処分する際は、必ずゴム手袋を着用してください。ビニール袋に密封し、自治体のルールに従って処分します。
処分方法は自治体によって異なるため、自己判断でごみに出す前に必ず確認してください。地域によっては回収に来てもらえる場合もあります。
隠すとかえって問題が大きくなる
「黙っていればわからない」と考えるのは得策ではありません。近隣住民からの通報や、後日の相談で発覚することがあります。
意図的に隠したと判断されると、偶発的な事故として扱われなくなる可能性があります。早い段階で相談したほうが、結果的に穏便に済むでしょう。
合法的にできる追い出しの手順
ここからは、許可なしでおこなえる正しい手順を紹介します。順番を守ることが重要です。
順番を守らないと閉じ込め事故につながります
① 侵入口を特定する
糞が落ちている場所の真上を確認してください。コウモリは出入り口の下に糞を落とすため、位置から侵入口の見当がつきます。
アブラコウモリは1.5cm程度の隙間があれば入り込みます。瓦の下、換気口、戸袋、配管まわり、外壁のひび割れなどが候補です。
② 日没後に忌避剤で追い出す
作業は日没後におこないます。コウモリが餌を求めて外へ出る時間帯に合わせることで、退去させやすくなるためです。
忌避スプレーは巣に向けて噴射します。ハッカ油の成分を嫌がる性質を利用した製品が一般的です。
③ 不在を確認する
追い出したつもりでも、内部に残っている個体がいる場合があります。数日ようすを見て、新しい糞が増えないかを確かめてください。
この工程を飛ばすと、閉じ込め事故につながります。急いで塞がず、必ず不在を確認してから次に進んでください。
④ 侵入口を封鎖する
金網、パンチングメタル、コーキング材などで隙間を塞ぎます。1.5cmの隙間も残さないよう、丁寧に作業してください。
ただし高所の作業は転落の危険があります。2階以上や屋根まわりは、無理をせず業者に任せたほうが安全でしょう。
⑤ 糞を清掃・消毒する
糞には病原体が含まれる可能性があり、乾燥すると粉状になって空気中に舞い上がります。防塵マスク、ゴーグル、使い捨ての手袋と衣服を着用してください。
掃除機で吸うと排気口から粉が飛散するため、湿らせてから拭き取る方法が安全です。作業後は消毒用アルコールなどで殺菌しておきましょう。
放置しても勝手にいなくなることはない
「そのうちいなくなるだろう」と考える方もいますが、その可能性は低いと考えてください。コウモリは帰巣本能が非常に強く、一度ねぐらにした場所へ毎年戻ってきます。
しかも群れで生活する性質があるため、放置するうちに個体数が増えていくでしょう。冬眠期に物音がしなくなっても、春には活動を再開します。
その間も糞は積み重なり、天井のシミや悪臭、ダニの発生といった被害が進行します。発見した段階で対処を始めたほうが、結果的に手間も費用も少なく済むでしょう。
賃貸やマンションで注意すべきこと
賃貸物件にお住まいの場合、自分で対処する前に確認すべきことがあります。見落とされがちですが重要な点です。
勝手に業者を呼んではいけない
入居者が独断で業者を手配し、建物に手を加えるのは避けてください。封鎖工事は建物の構造に関わる作業であり、退去時のトラブルに発展する可能性があります。
また、費用を負担したあとで大家に請求しても、事前の承諾がなければ認められないケースもあるでしょう。
まず管理会社かオーナーに連絡する
建物の維持管理は貸主の責任にあたるため、原則として大家または管理会社が対応します。被害に気づいたら、まず状況を報告してください。
その後、オーナー側が業者を手配する流れになります。入居者が立ち会うだけで済むケースがほとんどでしょう。
共用部分は管理組合の対応になる
分譲マンションの場合、外壁や共用廊下、ベランダの一部は共用部分にあたります。ここからの侵入であれば、管理組合が対応する案件です。
専有部分と共用部分の境界は管理規約で定められています。判断に迷う場合は管理組合に相談しましょう。
自治体は駆除してくれるのか
費用を抑えたい場合、自治体への相談を考える方も多いはずです。ただし対応してもらえる範囲には限りがあります。
多くの自治体では、相談の受付と情報提供までが対応の中心です。コウモリは捕獲が禁止されているため、罠の貸し出しもおこなっていません。
屋根裏の清掃や侵入口の封鎖といった作業は、住宅の維持管理にあたるため自治体のサービス範囲に含まれません。相談しても被害そのものは解決しない点を理解しておく必要があります。
業者に依頼すれば法律の心配なく解決できる
ここまで見てきた手順を、すべて代行できるのが専門業者です。法律面のリスクを負わずに済む点が最大の利点でしょう。
業者は追い出しの時期や順序を熟知しており、子育て期であれば施工時期をずらす判断もしてくれるでしょう。高所での封鎖工事や、防護具が必要な清掃作業も安全に任せられます。
コウモリ駆除の費用は場所によって3万円から30万円ほどと幅がありますが、多くの業者は現地調査と見積もりを無料で受け付けています。詳しい内訳はコウモリ駆除の費用相場|場所別の料金と足場代を抑えるコツの記事をご覧ください。
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コウモリの法律に関するよくある質問
追い出しただけなら本当に違法にならない?
コウモリを傷つけず、捕まえもせずに追い払う行為は、鳥獣保護管理法の規制対象外です。忌避スプレーや燻煙剤を使った追い出しは問題ありません。
ただし、追い出す過程で誤って傷つけた場合は話が変わります。作業は慎重におこないましょう。
家の中に入ってきた1匹はどうすればいい?
明かりを消して窓を全開にし、自分から出ていくのを待つのがもっとも安全です。追いかけ回すと隙間に入り込んでしまい、かえって対処が難しくなります。
タオルや網で捕まえようとするのは避けてください。捕獲にあたるうえ、噛まれる危険もあります。
子どもやペットがいる場合は?
糞には病原体やダニが含まれる可能性があるため、糞が落ちている場所に近づけないようにしてください。ベランダの糞は早めに清掃し、消毒しておきましょう。
コウモリを見つけても、触ろうとしないよう家族に伝えておきましょう。
捕獲許可は個人でも取れる?
制度上は申請できますが、一般家庭のコウモリ被害では要件を満たさず、許可が下りないことがほとんどです。
許可は農林業への被害防止などを目的とする場合に認められるものだからです。住宅への侵入では、追い出しと封鎖で対応するのが現実的でしょう。
優良業者の見分け方
コウモリ駆除では、法律と時期の知識がある業者かどうかが判断の分かれ目になります。
7月から8月中旬に相談した際、「今は子育て期なので9月に施工しましょう」と提案してくれる業者は信頼できます。逆に、この時期に即日の追い出しを勧めてくる業者には注意が必要でしょう。
また、追い出しと封鎖をセットで提案するかどうかも見るべき点です。封鎖を含まない見積もりは安く見えても再発するため、結果的に高くつきます。
まとめ|違法リスクを避けて確実に解決しよう
コウモリは鳥獣保護管理法で保護されており、無許可の捕獲・殺傷は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。自宅に住み着いている場合でも例外にはなりません。
一方で、忌避剤による追い出し、侵入口の封鎖、糞の清掃は許可なしでおこなえます。被害を止めるうえで効果が大きいのは、実は捕獲ではなく封鎖のほうです。
ただし手順を誤ると、閉じ込め事故や子どもの取り残しにつながり、かえって違反になるおそれがあります。「追い出す→不在を確認する→塞ぐ」という順番と、7〜8月を避ける時期の判断が欠かせません。
判断に迷う場合や高所での作業が必要な場合は、専門業者に相談したほうが安全です。現地調査と見積もりは無料で受けられるので、まずは状況を確認してもらうところから始めてみてください。
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