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害獣駆除の費用を調べると、どのサイトも「1万円から30万円」といった広い幅で書いています。30倍の開きがある数字を見せられても、自分の家がいくらになるのかは分かりません。
幅が広いのは、書き手が曖昧にしているからではありません。害獣駆除は同じ動物でも現場の条件で金額が本当に何十倍も変わる工事だからです。逆にいえば、その条件さえ分かれば自分がどのあたりに入るかは見当がつきます。
この記事では、金額を決める6つの条件を先に示し、見積を工程ごとに分解して読む方法を説明します。総額が同じでも含まれる作業が違う例も並べました。
あわせて、自治体の制度を使ったときに総額のどこが下がり、どこが残るのかを、4つの市の実際の運用から整理します。相場表を眺めるより、自分の家の条件を数えるほうが早く答えに近づけるはずです。
費用相場が「1万円から30万円」としか書けない理由
結論から書くと、害獣駆除に定価はありません。動物の種類で下限が変わり、現場の条件で上限まで引き上げられるため、相場の数字そのものは判断材料としてほとんど役に立ちません。
駆除は「商品」ではなく工事に近い
害獣駆除に定価がないのは、リフォームや外壁工事と同じ理由によるものです。どの家も屋根の形が違い、侵入されている場所も違うため、現場を見るまで作業量が確定しません。
家電のように型番で値段が決まる商品であれば、比較は簡単です。しかし駆除は同じ作業名でも家ごとに中身が変わるため、金額だけを並べても意味を持ちません。
下限が動物によって違う
ネズミやハクビシンは1万円台から、コウモリは3万円台から、イタチやアライグマは5万円台からという下限になることが多くなっています。この差は作業の難しさというより、必要な工程の数から生まれます。
ネズミは法律上の扱いが他と異なり、捕獲そのものに許可が要りません。一方でイタチやアライグマは許可の手続きが挟まり、封鎖する隙間の条件も厳しくなります。
上限がどれも30万円前後に集まる
動物が違っても上限が似た金額に集まるのは、高額になる理由が動物ではなく建物の側にあるからです。足場を組み、屋根裏の断熱材を全面交換し、脱臭まで行えば、どの動物でも同じような金額に届きます。
つまり相場表を横に眺めても、自分の家がどちらの端に近いかは読み取れません。見るべきなのは動物ではなく、次に挙げる現場の条件です。
金額を決める6つの条件
見積の金額は、次の6つでほぼ決まります。動物の種類は7番目くらいの要素だと考えたほうが、実際の見積と噛み合います。
足場が要るかどうか
最も大きく効くのがこれです。2階の軒や屋根の上に侵入口があると、足場だけで数万円から十数万円が加わります。高所作業には安全対策が要るためです。
コウモリの被害が高くつきやすいのは、この理由によるところが大きくなっています。同じ被害でも、平屋の床下なら足場代は発生しません。
侵入口の数
封鎖の費用は箇所数に比例します。1カ所で済む家と、換気口や配管まわりを含めて10カ所ある家では、材料も手間も一桁違ってきます。
侵入口は現地調査で数えるものであり、見ないまま総額を提示できる性質のものではありません。
放置された期間
気づいてすぐ相談した家と、数年間そのままだった家では、糞尿の量も臭いのしみ込み方も違います。期間が長いほど清掃と脱臭の工程が重くなります。
放置が長引くと、被害は屋根裏の中だけで収まりません。糞尿が天井裏の板を越えて室内側にしみ出せば、天井材の張り替えまで必要になり、駆除ではなく内装工事の金額が乗ってきます。
同じ動物、同じ侵入口の数であっても、気づいた月に相談するか3年後に相談するかで総額が数倍に開くことはあります。費用を左右する条件のうち、住む人が唯一コントロールできるのがこの時間です。
屋根裏の面積と作業のしやすさ
広い屋根裏ほど点検にも清掃にも時間がかかります。天井が低くて人が入れない造りだと、点検口を増やす作業が加わることもあります。
清掃や消毒の見積は、多くの場合この面積を根拠に組み立てられました。見積書に対象面積の記載がなければ、何を根拠に金額が出ているのかを聞いてみてください。
清掃と消毒がどこまで必要か
糞尿が少量なら拭き取りで済みますが、堆積している場合は撤去と消毒、さらに脱臭までが必要になります。ここは工程が丸ごと増えるため、金額の振れ幅が大きい部分です。
断熱材や天井を替えるか
断熱材に糞尿がしみ込むと洗って戻すことはできず、交換になります。天井にシミが出ていれば、天井材の張り替えまで発生する場合もあります。

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見積は5つの工程に分けて読む
総額だけを見比べても、なぜ差がついているのかは分かりません。見積は工程ごとの行に分解してから比べてください。行が分かれていない見積は、そもそも比較の対象になりません。
現地調査は無料のことが多い
調査と見積を無料で行う業者は少なくありません。ただし無料なのは調査と見積までで、そのあとの作業は当然ながら有料です。
この段階で何を見てもらえるかは業者によって差があります。屋根裏に実際に上がるのか、外周から侵入口を探すだけなのかで、そのあとに出てくる見積の精度も変わってきます。
追い出しと捕獲は思ったより小さい
費用の中心だと考えられがちな追い出しや捕獲は、実際には全体の1割から2割にとどまることが多くなっています。ここだけを安くしても総額はあまり動きません。
封鎖が全体の3割から4割を占める
金網やパンチングメタルによる封鎖は、箇所数と高さで金額が決まります。再発を防ぐ工程であり、ここを削ると数か月後にやり直しになります。
使う材料によっても差が出ました。かじられやすい発泡剤だけで塞いだ場合と、金属材で覆った場合では、耐久性も単価も同じにはなりません。見積の材料名まで読んでおくと、金額差の理由が見えてきます。
清掃と消毒と脱臭で2割から4割
被害の程度によって、この工程の比重は大きく変わります。糞尿がほとんどない家なら軽く済み、堆積している家では封鎖より高くなることもあります。
清掃、消毒、脱臭は別々の作業です。清掃だけを行っても臭いは残るため、どこまで含むのかを見積の行で確かめてください。ダニやノミの駆除が別項目になっている場合もあります。
復旧は必要な家だけ発生する
断熱材の交換や天井の張り替えは、被害が進んだ家にだけ加わる工程です。逆にいえば、早い段階で相談すればこの費用は発生しません。
総額が同じでも、含まれる作業は違う
同じ15万円の見積が2枚あっても、中身が一致しているとは限りません。安いほうを選んだつもりが、結果的に高くついたという例もあります。
清掃が別業者になる場合
追い出しと封鎖だけを請け負う業者に頼むと、糞尿の清掃は別の会社に依頼することになります。結果として2社分の出張費と作業費が発生します。
保証の範囲が違う場合
再発保証といっても、封鎖した箇所からの再侵入だけを対象にする内容と、別の場所からの侵入まで含む内容があります。年数が同じでも中身は別物です。
足場代が別途になる場合
見積の総額に足場代が含まれていないことがあります。作業当日になって追加されると、想定より大きく上振れします。足場が要るかどうかは、契約前に必ず確認してください。
自治体の制度を使うと総額はどう変わるか
自治体には、わなの貸出や捕獲個体の回収といった制度があります。ただし下がるのは捕獲にかかる部分だけで、金額の大半を占める封鎖と清掃には効きません。
捕獲の実費はほぼゼロにできる市がある
宇都宮市は、ハクビシンやアライグマの被害に対して箱わなを貸し出しており、貸出料金は無料です。1世帯につき1基、期間は3か月間で、捕獲した個体は市の委託業者が無料で回収します。
岐阜市もはこわなを無料で貸し出し、許可期間中に捕獲した個体は市の委託業者が無料で回収処分します。ただし許可がない場合、市は回収処分を行いません。
貸出の条件は市によって差がある
奈良市の捕獲器は貸出数が1基、貸出期間は2週間です。さらに捕獲したイタチなどは、近隣に迷惑がかからない場所へ自分で放しに行く必要があります。金銭以外の負担がここに残ります。
水戸市は、ハクビシンなどの駆除や捕獲を市では行っていないと明記しました。捕獲した個体の処分についても申請者の責任とされており、処分にかかる費用は自己負担になります。
補助金は農業被害が前提のことが多い
宇都宮市にはわな購入費の補助があり、経費の2分の1で上限は5万円です。ただし対象は市内に耕作地や事業所を持つ個人や団体とされており、家庭菜園は含まれません。
住宅の屋根裏被害だけでは対象外になる制度が多いという点は、期待する前に確かめておいたほうがよい部分です。
宇都宮市には、わな猟免許の取得費用を経費の2分の1、上限1万円で補助する制度もあります。ただし免許を取ってから捕獲し、その後に封鎖と清掃まで自分で行うとなると、時間の負担は小さくありません。
制度を使って下がるのは金額であって、手間ではないという点は押さえておいてください。仕事を休んで申請に出向き、わなを毎日見回る時間まで含めて考えると、業者に任せたほうが合う家もあります。
自分の市の制度を先に調べる
4市を並べただけでも、貸出の有無、期間、捕獲後の扱いがすべて違いました。自治体によって対応が異なるため、住んでいる市の記載を読んでから予算を立ててください。
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調査を受けるまで金額は確定しない
ここまでの6条件も5工程も、現地を見なければどれも数えられません。裏を返せば、調査を受けた時点で金額の幅は一気に狭まります。
調査で確定するもの
侵入口が何カ所あるか、足場が要る高さか、糞尿がどれだけ堆積しているか、断熱材が使えるかどうか。この4点が分かれば、見積の主要な行はすべて埋まります。
逆にいえば、これらを見ずに出された金額は仮のものです。契約を急ぐ理由がないのであれば、調査を受けてから判断するほうが確実といえます。
調査のときに伝えておくとよいこと
音が聞こえ始めた時期、聞こえる時間帯、糞を見つけた場所は、そのまま作業範囲の見積もりに使われます。写真が残っていれば、そのときの状態も伝わりやすくなるでしょう。
追加請求が起きるのはどこか
金額のトラブルは、作業の途中や終わったあとに生まれます。国民生活センターには、広告の格安料金と実際の請求が大きく違ったという相談が寄せられています。
広告の最低価格は最小構成の金額
広告に出ている最も安い金額は、被害が最も軽い場合の数字です。自分の家がその条件に当てはまるかどうかは、調査を受けるまで分かりません。
作業を始めてから増える項目
屋根裏に上がってから糞の量が判明し、清掃や消毒が追加されることがあります。追加が発生しうる項目と、その場合の単価を、契約前に書面で示してもらってください。
国民生活センターは、すぐに作業しないと被害が増えるなどと不安をあおって即決させ、他社と比べる機会を奪う事業者とは契約しないよう呼びかけています。
法律上の許可が関わる作業
ネズミ以外の獣は鳥獣保護管理法で保護されており、無許可の捕獲や殺傷には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。許可の手続きを誰が担うのかも、見積の前提として確認しておく部分です。
よくある質問
相場より安い見積は疑ったほうがよいですか。
金額だけでは判断できません。被害が軽く、侵入口が1カ所で足場も不要なら、安い見積が妥当なこともあります。確かめるべきなのは、封鎖と清掃が含まれているか、足場代が別途になっていないかという中身のほうです。
火災保険は使えますか。
契約内容によります。害獣による建物の損傷が補償の対象になる場合もありますが、駆除そのものの費用は対象外とされることが一般的です。加入している保険会社に、被害の状況を伝えて確認してください。
賃貸の場合は誰が払いますか。
契約や被害の原因によって変わります。自分で業者を手配する前に、管理会社や大家へ連絡してください。国民生活センターも、賃貸住宅では事業者へ依頼する前に管理会社や大家に相談する方法を挙げています。
見積はいくつ取ればよいですか。
2社から3社が現実的なところです。それ以上増やすと、調査の立ち会いだけで日数がかかり、被害が進みます。同じ条件で比べるために、封鎖する箇所数と清掃の範囲を各社に同じように伝えてください。
自分でやれば費用はかかりませんか。
材料費と時間はかかりますし、ネズミ以外の獣は無許可で捕獲できません。追い出しと隙間の封鎖までは自分で行えますが、屋根裏の清掃や高所の作業は危険が伴います。できる範囲と任せる範囲を分けて考えるのが現実的です。
まとめ
害獣駆除の費用が1万円から30万円という幅で語られるのは、金額を決めているのが動物ではなく現場の条件だからです。足場の有無、侵入口の数、放置された期間、屋根裏の面積、清掃と消毒の範囲、断熱材の交換という6つを数えれば、自分がどのあたりに入るかは見えてきます。
見積は総額ではなく、調査、追い出し、封鎖、清掃、復旧の5工程に分けて比べてください。封鎖と清掃で全体の6割前後を占めるため、そこが含まれているかどうかで同じ総額でも中身が変わります。
自治体の制度は捕獲の実費を下げられますが、封鎖と清掃は自己負担のまま残ります。宇都宮市のように貸出も回収も無料の市がある一方、水戸市のように処分まで申請者の責任とする市もあり、条件は一様ではありません。まずは自分の市の記載を読み、そのうえで現地調査を受けて条件を確定させるのが、遠回りに見えて最も確実な進め方です。
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